感染者数が全国5番目、死者は東京都に次いで多い愛知県がなぜ緊急事態宣言の対象から外れたのか。7日の参院議院運営委員会で質問された西村康稔経済再生担当相は「感染者が倍になるスピードが東京5日、大阪6日だが愛知は23日ぐらいで、非常にゆったりとしている。感染経路がわからない(人)が27%と比較的低いこともあり、指定を見送った」と答弁した。
一方、対象外という受け止め方による緩みを懸念し、「特に患者数の多い愛知、京都、北海道については、引き続きしっかりと対応をとっていく」と、状況次第で対象地域への追加に含みを持たせた。
対象外となったことに、愛知県の大村秀章知事は7日、報道陣に「愛知はなんとか持ちこたえているということ」と述べた。政府の専門家会議が1日に愛知を含む5都府県を「医療体制が切迫している」とした際は「体制は十二分」と強く反発、厚生労働省に抗議した。しかしこの日は、首都圏と関西にはさまれた立地のため「(追加は)当然考え得る」と警戒。三重、岐阜両県知事と共同アピールを発表し、3県民に5月6日まで、対象地域への移動自粛と、対象地域に住む家族や友人、仕事関係者に不要不急の来訪を控えるよう働きかけを要請した。
これに対し、名古屋市の河村たかし市長は「愛知県を対象区域に入れるよう、政府に申し入れる」と述べた。宣言下の東京、大阪から仕事を求めて「人が流入してくる可能性がある」と理由を語り、「名古屋は丁寧に対応し、抑え込んだ。ものすごく努力してきたのに、再び苦しい思いをするのは不合理だ」と訴えた。
愛知県内のある市長は政府の経済対策について「対象地域限定の特例措置が取られると、愛知県は損することになる」と警戒。河村市長も「(指定の有無で)差が生じてはいけない」と指摘した。【太田敦子、黒尾透】