新型コロナウイルスの感染拡大に乗じ、根拠のない予防効果をうたった健康食品などの商品広告が相次いでいる。現時点で有効な治療法は確認されておらず、こうした商品が広がることで基本的な予防対策がおろそかになってしまう可能性もある。消費者庁は注意を呼びかけており、警察も取り締まりを強化している。
「ビタミンCはコロナウイルスから体を守る」
「新型コロナウイルス感染防止策に青汁」
消費者庁によると、2月下旬から、新型コロナウイルスに対する根拠のない予防効果をうたう商品の広告がインターネット上で急増。同庁が2~3月に緊急でインターネット広告を調査したところ、計64事業者87商品で不適切な広告表示が確認された。健康食品のほかにアロマオイルや空気清浄機でも同様の広告があり、同庁は景品表示法と健康増進法に基づいて改善要請をした。
厚生労働省は「現時点では有効な治療法や薬、成分は明らかになっていない」としている。消費者庁の担当者は「大金を払ってしまうだけでなく、効果を信じて本来徹底すべき予防策をやめることで健康被害が生じる可能性がある」と懸念する。
政府の基本的対処方針では、感染拡大の混乱に乗じた犯罪の取り締まりの徹底が挙げられており、こうした広告に対し、警察も積極的に動いている。
大阪府警は今月16日、「新型コロナウイルスに効く」といって漢方薬を高齢者に訪問販売する際、必要な書面を渡さなかったとして、特定商取引法違反(不備書面の交付)の疑いで府内の薬局経営者らを逮捕した。
府警によると、経営者はもともと集会を開いて漢方薬などを販売していたが、感染拡大のために集会を開けなくなり、3月ごろから「コロナウイルスの感染時に働く」などとするチラシを用意し、従業員らに訪問販売させていたという。
同月には大阪市生野区にある別の薬局を医薬品医療機器法違反容疑で家宅捜索。この薬局は、医薬品の承認を受けていないのに「タンポポのお茶が新型コロナウイルスの予防に効く」と宣伝するチラシを配っていた疑いがあり、府警は捜査を進めている。
警視庁も3月、未承認のカプセル剤を「ウイルス増殖の抑制が確認された医薬品」と宣伝したとして、同容疑で、健康食品販売会社の男性社長ら2人と法人としての会社を書類送検した。この会社は1月末から3月中旬までに、約78万円を売り上げていたとみられる。
こうした例は氷山の一角とみられ、インターネットだけでなく、実際の店舗でも商品の近くに手書きの紙を添えて、根拠のない予防効果をうたった商品の宣伝が行われている可能性もある。消費者庁はそうした商品や広告を見つけた場合、「自治体や近くの消費生活センター、消費者ホットライン(188)に相談してほしい」と呼びかけている。