「客が来るのも来ないのも怖い」 新型コロナで困惑広がるススキノルポ

新型コロナウイルス対策を巡り、札幌市が北海道に上乗せする形で支援金を給付する方針を発表した21日夕、繁華街ススキノを訪れた。普段なら仕事帰りの人でにぎわう中心部は日が暮れても人影はまばら。それでも、店の明かりはポツポツと見える。そのうちの一軒に入った。
「客が来るのも来ないのも怖い。本当なら休みたい」。居酒屋「浜っぺ」の米田美津江さん(69)は訴える。店主の夫、章さん(68)も高齢。家族には妊婦や子どももいる。客が複数で来れば離れて座ってもらっているが、それでも感染が怖い。
今月から客は激減。先週から酒類の仕入れをやめた。店を開いて35年。こんな状況は初めてだ。「何か力になれることはないか」。こう心配してくれる常連客の言葉が、唯一の支え。刺し身の盛り合わせや小料理の持ち帰りも始めた。注文数は少なく苦戦している。
午後7時前、酒の販売を続けるかを尋ねた。以降の酒類販売をやめれば北海道と市の支援金計30万円が入る。美津江さんは「家賃などの支払いを考えると、たった10万円では……。30万円なら多少の足しにはなるかもしれない」。この日は、客の注文があれば酒を出すつもりだが、今後は考え直すかもしれない。
「いい方向に向かってはいると思うが、1回限りの給付では厳しい」。こう話すのは、あるバーの店主。道の自粛要請は5月6日まで続くが延長の事態を憂慮する。「この状況が続くなら、来月以降も支援してほしい」【土谷純一、菊地美彩】