物資不足の医療崩壊危惧 ガウンの入荷見込みなく 福井の病院

新型コロナウイルスの感染が拡大し、福井県内の医療現場は感染防止のための医療資材の不足に直面している。感染症指定医療機関の一つ、福井赤十字病院(福井市月見2)では飛沫(ひまつ)感染などを防ぐガウンやマスクが底をつく恐れがあり、「物資不足による医療崩壊が迫りつつある」と焦りを募らせている。
「医療用ガウンの在庫は今週中に底をつく。飛沫から顔を守るフェースシールドは在庫がなくなり、アルコールで消毒して使っている」
同病院の赤井雅也第1呼吸器内科部長は厳しい表情でそう話す。医療用ガウンは厚手の不織布でできた防護衣。手首の袖に絞りがあり、首元まで覆える。新型コロナウイルス感染疑いのある患者の検体を扱ったり、病棟患者をケアしたりする際に着用する。本来は、病棟を出入りする度に着替える必要があり、流行後は1日に100~200着消費していた。赤井さんは「メーカーに依頼しても、製造が追いつかず入荷見込みもつかない」と顔を曇らせる。
代用品として使っているのがポリエチレン製の「長袖エプロン」。本来は内視鏡検査などで着用するが、ガウンと違い、首元や背中の部分が大きく開いており、飛沫を防ぐ機能も低い。それすらも3週間分ほどの在庫しかなくなった。
マスク不足も深刻だ。不織布の医療用マスクは2カ月分ほど残っているが、ウイルスなどの微粒子を95%以上通さない医療用高機能マスク「N95」の備蓄は2週間分ほどしかないという。
物資不足は他の医療機関でも同様だ。県新型コロナウイルス感染拡大防止対策チームによると、最新集計の17日時点でN95が1週間程度でなくなる医療機関が1カ所あるほか、フェースシールドが3カ所で1週間もたない状態。今週に入り、国などからの物資供給が決まったが、同対策チームは「定期的な物資受け取りの目途は立っていない。備蓄のある医療機関同士で融通し合うなどの調整が今後必要になるかもしれない」と話す。
赤井さんは「日本は諸外国より感染拡大のピークを先延ばしすることには成功していると思うが、物資不足による医療崩壊が近づいている」と危惧を示し、「繊維業が盛んな福井の特徴を生かして、県が県内企業に物資の増産と買い取りを依頼をして支援してほしい」と要望している。【大原翔】