新型コロナウイルスの感染が広がる中、来場者の密集を防ぐため、見ごろを迎えた約80万本のチューリップを刈り取った千葉県佐倉市臼井田の市営の佐倉ふるさと広場で、花泥棒ならぬ「球根泥棒」が相次いでいる。球根は地中で育て学校や病院に寄付する計画だったといい、心ない行為が関係者を嘆かせている。
印旛沼のほとりに広がる同広場は約12万平方メートルのチューリップ畑が売りで、毎年4月の「佐倉チューリップフェスタ」には10万人以上が足を運ぶ。今年も1日に開幕したが、7日の緊急事態宣言を受けて行事を中止し、駐車場も閉鎖した。それでも来場者が後を絶たないため、市は15~16日、球根を寄付するために約10万本は花だけ刈り取り、残りは根こそぎ刈り取ったところ、17日以降、花を刈り取ったチューリップの球根が持ち去られるようになったという。小さな球根にいたっては掘り返されたまま放置されている。
担当者によると、チューリップの球根は葉が枯れるまで育てないと成長できず、翌年花が咲かなくなるため、5月中旬まで育ててから寄付する予定だった。市は、付近の住民が軽い気持ちで持ち去った可能性もあるとみて盗難の被害届は出さない方針だが、「持ち去りはやめてほしい」と訴えている。【秋丸生帆】