「9月入学」来年度の導入見送り…混乱懸念、慎重論に配慮

政府・与党は1日、新型コロナウイルスの感染拡大による休校長期化を受けて検討していた「9月入学」について、来年度の導入を見送る方針を固めた。待機児童の増加や義務教育開始の遅れなど、制度移行に伴う混乱を懸念する慎重論に配慮した。自民、公明両党は早期導入見送りを求める提言をそれぞれまとめている。
安倍首相は1日、首相官邸で公明党の石田政調会長らと会談し、9月入学について、「選択肢の一つだが、拙速に行うことはない」と述べ、早期の制度導入を見送る意向を示した。「学びに格差が生じないように全力を尽くす。9月入学は別に考えた方がいい」とも語り、学習遅れへの対策を急ぐ考えを強調した。首相は来年度からの導入見送りを求める公明党の提言を受け取った。
政府は休校長期化を受け、9月入学制度の導入で学習時間を確保する案を検討。関係府省の次官ら幹部を集めた検討チームで論点整理を進め、来年度に17か月分の児童を一斉入学させる案や、毎年13か月分の児童が時期をずらしながら入学し、5年かけて移行させる案などが浮上していた。
9月入学を巡っては、小池百合子・東京都知事ら複数の知事から制度導入に積極的な声が上がる一方、移行期の家庭の経済負担や保育施設の確保、学校側の財政負担などが課題として指摘されていた。
これに関連し、自民党のワーキングチームも1日、政府への提言案をまとめた。「今年度・来年度のような直近の導入は困難だ」として、制度導入の先送りを求め、2日に首相に提出する予定だ。