奈良・古墳の埴輪、接着剤でつなぎ合わせた子どもたち 法的にはアウト?

奈良県河合町にある古墳の埴輪が持ち出され、接着剤でつなぎ合わされて戻ってきたーー。こんなニュースが6月3日、報じられました。その後、埴輪を持ち出したのは、なんと地元の小・中学生だったと判明しました。
NHK(6月12日)によると、4月に国史跡の大塚山古墳で埴輪2体が持ち出され、その後、1体がバラバラ、もう1体は接着剤でつなぎ合わされた状態で現場付近に戻されていました。その後、たけのこ掘りに来ていた子どもたちが見つけたものだと保護者から連絡があったそうです。
ツイッターでは「修復して戻すなんて良い子じゃん」「組み立てて戻したってのが子どもらしい」など、好奇心旺盛な子どもたちに寛大な処分を求める声が相次いでいます。
とはいえ、警察は文化財保護法の疑いで捜査をしていた事案でもあります。今回のケース、法的にはどのような責任を問われる可能性があるのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。
ーー今回のケース、どのような法的問題がありますか
大塚山古墳は国の史跡ですから、今回問題となっている埴輪は文化財にあたります。
大塚山古墳に所在する数多くの文化財は町民だけでなく国民の財産であり、後世に確実に引き継ぐ必要がある貴重なものです。
近年、全国的に文化財を損壊する事件が発生していました。このような中で2019年4月1日に改正文化財保護法が施行され、文化財に対する損壊等の防止を図るため、国指定重要文化財等の損壊に係る罰金が引き上げられました。
文化財保護法195条1項は、「重要文化財を損壊し、き棄し、又は隠匿した者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金に処する」と規定しています。
器物損壊罪の法定刑が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」(刑法261条)とされていますので、かなり刑は重くなっています。
ただ、今回は被疑者が小・中学生であったとのことですから、14歳以上の中学生がいない限り、今後刑事事件化することはないでしょう。
また、事実関係の詳細を見ないとはっきりしたことは言えませんが、理論的には民法上の不法行為も成立し得ます。ただ、奈良県河合町におかれましては、お子さんらに対する温かい配慮を希望します。
ーー重要文化財を返さなかった場合、どのような問題になりますか
14歳以上の刑事責任能力者であることを前提に解説します。
持ち去った際は、まさか貴重な文化財である埴輪が埋まっているとは思っていなかったともいえるかもしれませんが、今回の事案は報道によると、警察が文化財保護法の疑いで捜査をしていたようです。
埴輪の盗難があったという報道に接したにもかかわらず、返さなかったとすれば、占有離脱物横領罪(刑法254条)が成立し得ます。法定刑は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料です。
ちなみに、返さないと決めた後に壊しても、その行為は処罰されません。不可罰的事後行為といいます。
【取材協力弁護士】濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。事務所名:東京新生法律事務所事務所URL:http://www.hamakado-law.jp/