感染縮小で安倍首相はオレのおかげモード「日本の力示した」

新型コロナの感染拡大が始まって緊急事態宣言が出され、全面解除されるまで、安倍晋三首相は8回の記者会見を開き、直接、国民に語りかけた。だが、その言葉は常に空虚で国民には響かない。
感染が縮小に向かうと、安倍首相の言葉は“オレのおかげ”というニュアンスが強まっていく。
東京、大阪などを除いた39県の緊急事態宣言を解除した5月14日の会見では、「我が国の人口当たりの感染者数や死亡者数は、G7、主要先進国の中でも圧倒的に少なく抑え込むことができている。これは数字上明らかな客観的事実です」と胸を張り、こうアピールした。
「中小・小規模事業者の皆様には、使い道が全く自由な現金を最大200万円お届けする持続化給付金の受付を今月1日から開始しています」
「雇用調整助成金を世界で最も手厚いレベルの1日1万5000円まで特例的に引き上げます」
そして全面解除となった5月25日の会見ではパワー全開。
「わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。まさに、日本モデルの力を示したと思います」
そう勝ち誇った言い方をすると、そこからは「世界一」の自画自賛のオンパレード。
「日本の感染症への対応は、世界において卓越した模範である。先週金曜日、グテーレス国連事務総長は、我が国の取り組みについてこう評価してくださいました。これまでの私たちの取り組みは確実に成果を挙げており、世界の期待と注目を集めています」
「2次補正予算を決定いたします。先般の補正予算と合わせ、事業規模は200兆円を超えるものとなります。GDPの4割に上る空前絶後の規模、世界最大の対策によって、この100年に一度の危機から日本経済を守り抜きます」
しかし、総理大臣だけが舞い上がっても、コロナ自粛で最も被害を受けた国民の多くには、10万円給付金も、世界で最も手厚い助成金も、200万円の持続化給付金もまだ届いていない。コミュニケーション・トレーニングやPRセミナーを運営するグローコム代表の岡本純子氏が語る。
「今回のコロナ感染で最も頑張ったのは自粛に耐えた国民です。安倍総理はこれまでの会見で役人の作文である『感謝』という言葉は何度も使ったが、自分の言葉で国民に『ありがとう』とは1回も言ったことがない」
大きな危機においては、国民にとって総理大臣の発するひとことが“暗夜の一灯”だ。拙い言葉であっても誠意があれば安心につながり、「ありがとう」と励まされれば勇気もわく。
しかし、安倍首相の記者会見で国民の胸に響いた言葉が1つでもあっただろうか。言葉で国民に勇気を与えられない総理大臣に、「国民の生命と財産」を預けることなどできないのである。
※週刊ポスト2020年6月26日号