新型コロナは「宇宙の意思」!? 死者を引き合いに出すゲスさ、安倍昭恵夫人の「お友達」も登場の老舗雑誌

子宮を温めて免疫力を高める。次亜塩素酸水を噴霧する。このコロナ禍で次々湧き出てくるよくわからない言説も、百鬼夜行の如し。毎日毎日私の中のトンデモアラートが、不気味に赤く光っております。 こんなとき、レベルが高すぎて凡人にはついていかれない格調高いスピ雑誌は何を発信しているのでしょう。そんなことから今回はひさしぶりに『anemone』(ビオ・マガジン)を手にとってみたご報告です。一般大衆の視点から見ると大変マニアックなこちらの雑誌、テーマは「光の現実を生み出す意識の目覚め」です。「女性性の開花」「日本人の霊性文化を世界へ」「スピリチュアルの科学化」「宇宙文明への参加」など、計6つの柱を掲げています。 当連載では2014年に、1回だけレビュー記事を書きましたが、あまりの別次元っぷりにほぼついていかれず、私の可視領域におわす物件ではない……と手を引いていました。だって「現代文明よりもはるかに高度な文明を持つ種族=レムリア人が、人類の進化を願いメッセージを送ってくる~」とかだったので。自分の生活との接点が、あまりにもなさすぎる。 しかし2020年6月号の特集テーマは「コロナウイルスの正体」(!)。まさにわが身も渦中である新型コロナについてとなれば、再び興味が沸いてきます。ということで行って見ましょう、いざ異界見学へ。
冒頭は、anemone編集長からのメッセージでした。ここに特集の主張が集約されていると思ってよさそうです。かいつまむと、こう。・新型コロナウイルスは、新しい意識・価値観をつくるために現れた、宇宙計画による気づきの使者。コロナは宇宙からやってきたと思われる十分な特性を備えている。・化学兵器であることは間違いない。しかし闇の組織にそれを作らせたのも、私たちの使命を促すための、宇宙の意思。・マスコミがわざと恐怖をあおる報道をするのは「思考・イメージしたものが現実を創る」という私たちのすごい能力を利用して奈落絵を作り、知らず知らずのうちに逃れられないようにするため。管理社会・支配体制を敷き、人類を眠らせたままにしておきたい世界のエリート層による計画の一部である。・我々が進化することで鎖星状態のローカルな地球人類から宇宙の水準に見合った銀河人類へと近づき、宇宙文明に参加できる「その日」がくる。 ああ、安定のスピリチュアル節。新型コロナもこういう扱いなのねえ……。ところで「鎖星」って、鎖国の宇宙版、と考えればいいんですか? ってことは、UFOは黒船なんでしょうか。でもまあ宇宙の意思! とか夢ある世界はまだ面白い。しかし「闇の組織」などの陰謀論系が出てくると、秒でしらけるわあ~。被害妄想でしょうか? 「特別な情報にたどり着いた私たち」と「知らないやつらは愚か・哀れ」という見下しが入ってるような空気を感じるのは。また、陰謀論は疑似科学周辺と相性がいいのも、嫌いなんですよね。 しかしそこで「そんなわけあるかい!」とがなりたてるのは詮ないこと。災難に見舞われたとき、「全ては気づき…」「全てに感謝…」と穏やかな笑みをうかべるのは、もはや「スピしぐさ」なのですから。ちなみにこのしぐさは自分が苦難を乗り越えるときだけでなく、加害者となったときにも便利この上ない行動哲学ですので、応用力は抜群です。なるほどanemoneは、医学的科学的解決が全世界から切望されているこの新型コロナも、とことん「スピしぐさ」で対応していくのですね。そこから始まる、さまざまなスピリチュアル有名人たちの「私たちの考える新型コロナ」とは?
画家・作家のはせくらみゆき氏は「コロナウイルスさんやマザーアースとお話してわかった内容をお伝えする」と来ました。「コロナウイルスとお話し」って、陽性の方なのかしら? と思ってしましたが、そういうわけではないようで、本来は誰でもできること……なんだとか(わけがわからないよ)。聞き取り調査によると、コロナウイルスの主張→「僕は太陽から来た」「本質は太陽意識だ」「恐れと不安に感応して、それが増殖するようにというプログラムコードが書き込まれている」。マザーアース(地球のことか)に聞いた目的は「今のままでは新生地球の高い周波数帯に移行できないので、そこで進化させるために親である太陽の意識に依頼して遣わせてもらった」そうです。 我々の知っている三次元の宇宙と、彼らの言う精神世界の宇宙は別物なのでしょう。饒舌なメッセージをバンバン送ってくる、別の宇宙。しかし大変失礼なことを申し上げますが……すっごく誰にでも思いつきそうな……宇宙意思ぃ。もし太陽意識も地球意識もあるのなら、想像もつかないようなあっと驚く進化の方法がありそうなんですが。「その発想はなかった!」というような。でも、誰にでも理解できる簡単な理屈&言葉で語ることもまた、スピしぐさ也。 さて、スピしぐさは現役医師も嗜んでいるようです。特集には、首相が新型コロナ警戒発言した後に、昭恵夫人と一緒に神社参拝ツアーを行ったと報じられた「ドクタードルフィン」こと松久正氏医師が登場しています。anemoneサイドでは「現役医師の立場から勇気をもって発信している方がいらっしゃいます」と紹介。勇気、なのかなぁ? ドクタードルフィンの主張は、こんな感じです。・不安と恐れに特化したプログラムコードを持つのはコロナウイルスのみ。・人の感情との共鳴力が大きい。・人類が不安と恐怖でパニックを起こし、敵意を抱くほど、エゴで行動するほど学ばせるためにウイルスは広がる。・ウイルスは人から人へ感染すると思われているがそう見えるだけで事実はそうではありません。空間に遍満(へんまん)しているホワイトホールから突如現れ、物質化する。役目を終わると突如ブラックホールへと消失していく。・恐れる人のエネルギーに共鳴して、隔離されている部屋に、口の中に、突如ウイルスが現れます。それが感染したように見える。 そして感謝でウイルスを受け止め、「学ばせてくれてありがとう」と伝えることが大切なんだとか。だからコロナウイルスの感染者数は、国民の霊性の進化度と反比例しているそう。 確かに非常時下はモラルが低下し、犯罪が増えることは過去の出来事からも明かです。ですから今の時期、あの手この手でそこへ向かわないような発信は、求められるコンテンツでしょう。しかし「民度」(麻生太郎財務大臣の発言)やら「霊性」を持ち出すのはどうなのか。それは「信心がないから、感謝がないから病気になる」と脅す輩と同類に思えてしまうのですよね。いいことを言っているようで、さりげなく脅す言説も、スピしぐさとしてカウントしておきましょう。
そうそう。権威といえば、もう一人スーパー有名人が特集に登場しています。ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士直系の弟子である、理論物理学者の保江邦夫氏です。保江氏のトークは天才的かつエキセントリックな視点が特徴で、今回の記事でも、今アツい陰謀論として出回っている「5Gでコロナウイルスが活性化」説を取り上げています。そして「愛(光)に覚醒することこそ、コロナや電磁波から身を守る特効薬」であると。数学や物理の世界も、突き詰めていくと大変な神秘であり神の世界を見出す人はめずらしくない……と聞きますので、スピリチュアルな世界に理解があるのはわからなくもありません。ですがこういった媒体に登場することで、ほかの与太話レベルのお説にもお墨付きを与えてしまいそうで、なんだかなあ~と思ってしまうのでした。 さてスピしぐさに話しを戻しましょう。「我らが選ばれしもの」という選民意識を持って発言するのも重要ポイントです。かつては宇宙人だったり、イエス・キリストが父であったというすごいプロフィールを持つサアラ氏のページでは、「銀河群全体の進化を推進するための指揮をとる」という立場からのメッセージが紹介されています。ここは、感染者の一部に子どもたちも含まれることについての説明が注目ポイント。「子どもの感染者、若い人たちもやはり、この先の社会に適応できるかどうかを選別されている」「いま、子どもたちを選別する、という段階に入っている」「魂に見合った完全な選択をする時期にさしかかっている」 自分が感染してそう結論づけるならともかく、感染症で亡くなった子どもたちを引き合いに、自分たちの世界を盛り上げるために使うゲスさよ(あ、社会の出来事を独自すぎる解釈で発信するのも、スピしぐさでしたね!)。この手の言説は誰がなんと言おうと、受け入れたくありません。
以前も胎内記憶本で、目黒女児虐待事件について亡くなった結愛ちゃんを「愛を教えてくれるために、この世に生まれてきた」と説明していたのも最悪でしたが、こちらもなかなかのものですなあ。どうぞ一刻も早く、別の宇宙へ飛び立っていただきたいものです。 まだまだ未知な部分が多い新型コロナウウイルスを、ユニークな視点で語るのはもちろん自由です。ただ、科学っぽい説明で荒唐無稽なお説を発したり、民度やら霊性やらを持ち出しナショナリズムをくすぐったりする点だけは、ご勘弁いただきたい。スピしぐさにおいても、その辺を精査してブラッシュアップしていかれてはいかがでしょう。そのほうがよっほど、波動や霊性が高くなりそうなんですが。 さて、こんなものを読んでいたら、サントリーの広告記事に登場する「宇宙ビジネス」や、子どもに向けのYouTubeチャンネル「おうちで宇宙」のアカウントを目にするなり、「あっちの話しだ!」と勘違いしてしまうこともしばしば(瞬時に気づいて「あっ…」てなる)。毒されすぎですね。もしかしたら自分も、息をするようにスピしぐさをくり出せるようになる日が、近いかもしれません。