熊本・鹿児島大雨、2人が心肺停止…20万人に避難指示

梅雨前線が停滞した影響で、熊本、鹿児島両県で記録的な大雨となり、気象庁は4日午前4時50分、「生命に重大な危険が差し迫っている」として大雨特別警報を発表した。熊本県などによると、県南部を流れる

球磨
( くま ) 川が氾濫し、流域の人吉市や八代市、球磨村などで被害が相次いだ。津奈木町で2人が心肺停止、芦北町などで10人以上と連絡が取れていない。
雨のピークが過ぎたとして、気象庁は4日午前11時50分、両県への大雨特別警報を警報に切り替えた。読売新聞のまとめでは午後1時現在、熊本県で約9万世帯約20万人に避難指示が発令されている。
気象庁によると、4日午前5時までに観測された1時間雨量は熊本県天草市で98ミリ、球磨村で83・5ミリと観測史上最大となった。3時間雨量も、天草市で観測史上最大の205・5ミリを記録し、芦北町でも190・5ミリとなった。
国土交通省によると、球磨川では上流から中流域で、少なくとも10か所で氾濫が確認され、二つの橋が流された。
熊本県では、津奈木町では土砂崩れ現場で見つかった2人が心肺停止、1人と連絡が取れていない。鹿児島県長島町では土砂崩れが起きた。
熊本、鹿児島両県は災害対策本部を設置。陸上自衛隊は熊本県の災害派遣要請を受け、芦北町と球磨村に部隊を送った。
JR九州によると、九州新幹線の一部区間で一時運転を見合わせた。九州自動車道も、道路脇の斜面が崩れるなどして一部で通行止めとなっている。
気象庁によると、梅雨前線は今後も停滞し、西日本を中心に大雨となる恐れがある。5日正午までの24時間雨量は鹿児島県で150ミリと予想される。
大雨特別警報は、2013年の運用開始以来、今回の発令のほか、18年7月の西日本豪雨など31都道府県に出ている。昨年10月の台風19号で、解除後に複数の河川が氾濫した教訓を踏まえ、気象庁と国土交通省は今年度から、住民に危険がなくなったと勘違いされないよう表現を「解除」から「警報への切り替え」に改めた。