梅雨前線が九州を中心に甚大な被害をもたらした豪雨災害は、11日で発生から1週間を迎えた。10日までに熊本など九州で63人、静岡、愛媛で各1人の死亡が確認されている。家屋の浸水や土砂崩れなど多数の被害が出ているが、豪雨が残した爪痕の全容はつかめていない。大雨は沖縄など一部を除く全国で少なくとも12日まで続く可能性があり、気象庁は厳重な警戒を呼びかけている。
10日は熊本県で1人の死亡が確認され、一連の豪雨災害による九州の死者は熊本県60人、福岡県2人、大分県1人となった。熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の入所者14人をはじめ身元が公表された死者55人のうち49人が65歳以上で、災害時に高齢者の安全をいかに守るか、課題が改めて浮き彫りになった。
また、長崎県対馬市で10日、田んぼのポンプを見に行った50代男性が行方不明になった。九州では熊本県10人、大分県5人、鹿児島県1人の行方が分かっていない。熊本県人吉市では40人の安否も不明で、自治体などが確認を急いでいる。
熊本県は10日、全半壊や浸水など家屋の被害が少なくとも6300棟に上ると発表した。同県以外にも被害状況の調査が終わっていない自治体も多く、被害はさらに拡大する見通しだ。
前線に伴う雨は九州で3日ごろに降り始め、気象庁は4日に熊本、鹿児島、6日に福岡、長崎、佐賀、8日には長野、岐阜の各県に大雨特別警報を出した。3日から10日までの総雨量は、高知県馬路村1148・0ミリ▽熊本県湯前町1136・5ミリ▽鹿児島県鹿屋市1125・5ミリ▽和歌山県田辺市1077・0ミリ▽大分県日田市1050・5ミリ――など記録的雨量を観測している。
国土交通省によると、熊本県の球磨川や岐阜県の飛川が氾濫した他、全国97河川で護岸の損壊や堤防の陥没などが発生した。国や都道府県が管理する国道31路線63カ所で土砂崩れなどが起きた。また、総務省消防庁のまとめでは、特別警報が出された7県を中心に最大で64万7831世帯141万1337人(8日午前5時半現在)に避難指示が出た。
10日は、佐賀県嬉野市で午後1時過ぎまでの1時間に64・5ミリの激しい雨が降った。気象庁によると、11日も局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降る恐れがある。同日午後6時までの24時間雨量は九州北部250ミリ、四国200ミリ、東海と九州南部180ミリと見込まれている。【下原知広、山口桂子、平川昌範】