【有本香の以読制毒】安倍政権の「対中姿勢」に“苦情” 米報告書、二階幹事長と今井補佐官を“親中派”と名指し 首相の正しい決断に期待

本コラムでも幾度か、安倍晋三政権の対中姿勢に疑義を呈してきたが、今回は「疑義」を超えて、はっきりと苦情を申し上げたい。 いま、巷を騒がす話題の中で私が注目するのは、米国ワシントンDCの有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が公表した「日本における中国の影響力」と題する調査報告書である。著者は知日派の国際政治学者、デビン・スチュワートだが、報告書の内容は、米国政府の支援を得て2年にわたり行われた調査をもとにまとめられている。 これを読めば、米国政府とDCの人々が、日本の対中政策がいかにして形成され、進められているのか、もっと具体的に言えば、中国の工作機関が日本に対し、いかに影響力を行使しているかに、強い関心を持ってきたことが分かる。 日本のメディアは、この報告書の16ページに書かれた単語に鋭く反応した。安倍首相の対中姿勢に大きな影響を与えてきた人物として、自民党の二階俊博幹事長、そして首相補佐官の今井尚哉(たかや)氏が名指しされ、「二階派は『二階・今井派』とも呼ばれている」と記した部分である。この部分の原文は次のとおりだ。 「(IR疑惑で逮捕された)秋元(司)は、自民党の強力な派閥であり、親中派グループでもある『二階派』(和歌山県出身の自民党幹事長由来の派閥名)に属している。このグループは、『二階・今井派』とも呼ばれている」 さらに、安倍首相の補佐官であり元経済産業省の官僚である今井氏については、「首相に、中国とそのインフラ・プロジェクトについて、よりソフトなアプローチを取るよう説得してきた」存在だと明記している。 この後、私がクスッとわらった記述があるのだが、それは、二階氏のことを、「中国からパンダ5匹を自身の地元和歌山の動物園へ連れてきた二階」と書かれていることだ。 このくだりは、2019年4月に二階氏が首相特使として訪中し、習近平国家主席と会見し、米国の意向に逆行するかのように、「一帯一路」への日本の協力を提唱したことや、彼が、習氏の「国賓」訪日をも提唱していることで結ばれている。 よくぞここまで、はっきりスッキリ書いてくれたものだと感謝の念すら抱くが、米国が日本に寄せる懸念-日本の現政権が中国に対し融和的に傾いているのではないかという懸念は、まさに私たち日本国民の多くがいま、安倍政権に寄せる懸念でもある。 私はちょうど1カ月ほど前、最新刊『疫病2020』(産経新聞出版)が話題となっている作家でジャーナリストの門田隆将氏と、雑誌『Hanada』で対談した。そのなかで、門田氏の著書をもとに、今年1月以降の安倍首相の疫病(新型コロナウイルス)への対応を改めて振り返り、最近の首相に色濃く漂っている「側近政治」の影についての懸念を表した。
本コラムでも幾度か、安倍晋三政権の対中姿勢に疑義を呈してきたが、今回は「疑義」を超えて、はっきりと苦情を申し上げたい。
いま、巷を騒がす話題の中で私が注目するのは、米国ワシントンDCの有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が公表した「日本における中国の影響力」と題する調査報告書である。著者は知日派の国際政治学者、デビン・スチュワートだが、報告書の内容は、米国政府の支援を得て2年にわたり行われた調査をもとにまとめられている。
これを読めば、米国政府とDCの人々が、日本の対中政策がいかにして形成され、進められているのか、もっと具体的に言えば、中国の工作機関が日本に対し、いかに影響力を行使しているかに、強い関心を持ってきたことが分かる。
日本のメディアは、この報告書の16ページに書かれた単語に鋭く反応した。安倍首相の対中姿勢に大きな影響を与えてきた人物として、自民党の二階俊博幹事長、そして首相補佐官の今井尚哉(たかや)氏が名指しされ、「二階派は『二階・今井派』とも呼ばれている」と記した部分である。この部分の原文は次のとおりだ。
「(IR疑惑で逮捕された)秋元(司)は、自民党の強力な派閥であり、親中派グループでもある『二階派』(和歌山県出身の自民党幹事長由来の派閥名)に属している。このグループは、『二階・今井派』とも呼ばれている」
さらに、安倍首相の補佐官であり元経済産業省の官僚である今井氏については、「首相に、中国とそのインフラ・プロジェクトについて、よりソフトなアプローチを取るよう説得してきた」存在だと明記している。
この後、私がクスッとわらった記述があるのだが、それは、二階氏のことを、「中国からパンダ5匹を自身の地元和歌山の動物園へ連れてきた二階」と書かれていることだ。
このくだりは、2019年4月に二階氏が首相特使として訪中し、習近平国家主席と会見し、米国の意向に逆行するかのように、「一帯一路」への日本の協力を提唱したことや、彼が、習氏の「国賓」訪日をも提唱していることで結ばれている。
よくぞここまで、はっきりスッキリ書いてくれたものだと感謝の念すら抱くが、米国が日本に寄せる懸念-日本の現政権が中国に対し融和的に傾いているのではないかという懸念は、まさに私たち日本国民の多くがいま、安倍政権に寄せる懸念でもある。
私はちょうど1カ月ほど前、最新刊『疫病2020』(産経新聞出版)が話題となっている作家でジャーナリストの門田隆将氏と、雑誌『Hanada』で対談した。そのなかで、門田氏の著書をもとに、今年1月以降の安倍首相の疫病(新型コロナウイルス)への対応を改めて振り返り、最近の首相に色濃く漂っている「側近政治」の影についての懸念を表した。