「もはや意味ない」 感染最多更新の大阪 ミナミの休業・時短開始に疑問の声

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大阪府が大阪市の繁華街ミナミの中心部で酒類を提供する店舗に休業や営業時間短縮(午前5時~午後8時)を求める期間が6日、始まった。府の「感染防止宣言ステッカー」を導入したうえで要請に応じた店には府市が1日2万円の協力金を支払うが、経営者らは「なぜミナミの一部だけが対象なのか」と憤る。府内ではこの日も新規感染確認が225人と最多を更新し、対策の効果に疑問の声も上がる。
期間は20日までで、御堂筋と堺筋、長堀通、千日前通に囲まれた区域が対象。府がミナミに設置した臨時のPCR検査場で陽性率が20%程度と高止まりしていることなどから選定した。
府内を中心に13店をチェーン展開する「串かつだるま」は4店が区域内にあり、法善寺店を休業、なんば本店など3店は営業時間を短縮した。運営会社の担当者は「陽性率が高いのは臨時検査場があるからだ」と話し、府による区域設定に首をかしげる。緊急事態宣言の解除後も客足は戻らず、「ミナミだけが感染源のようにされ、日中の売り上げもさらに減るのではないか」と危惧する。
道路一本での線引きに納得できず
若者が集まるアメリカ村や、南海難波駅東側の「ウラなんば」は対象とならず、不公平感を訴える声も多い。あるバーの50代店主は「感染が再拡大しているので要請自体は理解できるが、同じミナミなのに、なぜ道路一本で線引きされるのか」と納得できない。この日の225人の感染確認を帰宅途中に聞いた大阪市城東区の男性会社員(44)は「ミナミだけを感染源扱いする府には違和感がある。もはや特定の地域での対策に意味はないのでは」と首をかしげた。
あるホストクラブは6日は休業するが、その後は他店の動向を見ながら判断するという。経営者の30代男性は「1日2万円の協力金では固定費を補えない。府や市は各店の苦境が分かっていない」と憤る。キャバクラに勤める女性(29)は今後の出勤について店から何の連絡もないと不安がる。店の売り上げは通常の9割減といい、「今が一番の底。このまま働き続けられるだろうか」と嘆いた。
府のステッカーは、府のホームページ上で店側が業種別のガイドライン順守などの規約に同意して店名などを登録すればダウンロードできる。府によると、5日午前10時までに府内全体で約3万8500店が導入。このうち約9500店はステッカーが協力金の条件と発表された7月31日以降の申請で、大半がミナミの対象区域の店とみられる。【隈元悠太】