SNSで評判「湖上の大鳥居」、「近くで見たい」と危険な国道横断が続出

琵琶湖上に立つ人気スポット、滋賀県高島市の

白鬚
( しらひげ ) 神社の大鳥居を見ようと、境内と大鳥居の間を走る国道161号を渡る観光客らが後を絶たない。付近に横断歩道はなく、事故が懸念されるが、県警は「鳥居見物のためだけに横断歩道は設置できない」との立場。対策を講じているものの改善は見られず、新型コロナウイルスの感染拡大後も状況に変化はない。神社側は「安全に鳥居を楽しんでもらえる方法はないものか」と頭を悩ませている。(松山春香)
「国道の横断は危険ですのでご遠慮ください」。同神社の本殿横を人が通ると、高島署が1月に設置したスピーカーから日本語、英語、中国語で音声アナウンスが繰り返された。だが観光客は気に留める様子もなく、時速60キロ前後で車が通り過ぎる中、タイミングを見計らって道路を渡り、鳥居に近づいて写真を撮っていた。
子ども2人と横断した彦根市の主婦(34)は「せっかく来たので、罪悪感を抱きながらも近くまで行った」と話した。道路を渡らず、境内前の歩道から鳥居を撮影していた大阪府高槻市の会社員女性(68)は「渡らないとよく見えないが、スピードの速い車が怖くて渡らなかった。横断歩道があればいいのに」と語った。
同神社は2015年、「琵琶湖とその水辺景観」の一つとして日本遺産に認定された。湖岸から約50メートルの湖上に立つ朱塗りの大鳥居がSNSで評判になり、大型連休中や週末には観光バスが訪れるようになった。
認定前は約8万人だった参拝客は、近年は約16万人と倍増。新型コロナの影響で一時途絶えたが、今では例年の7割程度に回復し、外国人観光客の姿も見られるという。
だが、国道161号は湖西地域の幹線道路で交通量が多い。神社周辺で大きくカーブして見通しがよくない上、周辺の約3キロ・メートル範囲には横断歩道や信号機もない。
今のところ観光客らが事故にあったケースはないが、付近では過去5年間で計12件の車同士の事故が発生。ドライバーからは苦情も寄せられており、神社は高島市や県警に相談してきた。
高島署はスピーカーのほかにも、ポスターを作って注意喚起。神社も三角コーンや「横断禁止」の看板を設置するなどしてきた。昨年12月には、道路上に「slow down」と英語で表示したが、目立った効果は出ていない。梅辻春樹宮司(72)は「アナウンスも聞き流す人が多く、意味がない。訪れる人のほとんどが鳥居目当て。横断しようとする人を止めることはできない」と肩を落とす。