過剰反応、心の余裕を 発熱、教員から叱責 無関係なのに自宅待機 新型コロナ

群馬県内で新型コロナウイルス感染者が440人を超えた。そんな中、思わぬあつれきが起きている。高熱を出した大学生は教員から非難された。また、児童1人の感染が確認された、ある小学校では無関係の児童の保護者が自宅待機を求められることがあった。過敏ともいえる反応の背景とは。【鈴木敦子】
県内の私立大4年の女性は8月、38度を超える発熱があり、講義を欠席した。すぐ保健所に連絡して新型コロナのPCR検査を受けた。大学の教員に伝えると、発熱前の1週間の行動を尋ねられた。女性は1人暮らしで、生活費のためアルバイトに出ていた。教員からはこう言われた。「こんな時期にバイトに行くなんて、意識が低すぎる」。女性はバイト先でマスク着用や手指消毒を徹底していた。
責められたように感じた。教員からは「あなたが感染していたら、大学を休校にしなければならない。他の学生が実習に行けなくなる」とも言われた。他の大学で、クラスター(感染者集団)が発生したことで無関係の学生が教育実習を拒否されたという報道があった。女性は「みんなに迷惑を掛けてしまう」と思い悩んだ。結局、検査結果は陰性。すぐに熱も下がった。女性は「もし自分の友だちが感染していたとしたら、不安にさせるようなことは言わない」と話す。
8月に児童1人の新型コロナ感染が確認された、県内のある小学校。この児童は家族から感染したとみられ、同級生や担任教諭ら関係者は全員陰性で、校内での感染拡大はなかった。だが、この小学校に通っているきょうだいがいる保育園児が、保育園側から「1週間は来ないでほしい」と登園を断られ、この小学校に子どもを通わせている保護者が勤務先から自宅待機を求められたこともあったという。
保護者の男性(45)によると、感染した児童と学年が異なり接点がなくても、しばらく子ども同士での遊びを自粛していたという。「周囲の目を気にして親も神経を使った」と振り返る。ただ、校内では感染した児童への批判的な声はなかったといい「冷静に状況を捉える心の余裕が大事ではないか」と話す。
背景に「集団代表意見」
群馬大社会情報学部の柿本敏克教授(社会心理学)は、感染症が「社会全体や人類全体に脅威を与えるもの」という視点から、自らの言動を「集団の利益を代表した意見」と認識し、強硬な態度になった可能性があると指摘。「脅威を減らすことはよいこと、それを皆が共有すべきだ、という意識が働いたのではないか」と話す。その上で「医療的な対処法のめどがある程度つけば、恐怖や不安感が抑えられ、理性的に反応できるようになるだろう」とみている。