新型コロナウイルス感染者に対する悪質な中傷やデマがインターネットなどで拡散する中、岩手県警や県はこうした言動を「名誉毀損(きそん)に当たる場合もある」として、厳しい言葉で抑止する活動を続けている。県警の注意喚起には多くのリツイート(引用)があり、感染を責めたり中傷したりしないという意識の広がりもうかがえる。【山田豊】
県警は、県内で初めて感染者が確認された数日後の8月初旬、「中傷、無責任なうわさなどの書き込みは、場合によっては名誉毀損などの犯罪になる」と、サイバー犯罪対策課の公式アカウントで広報した。同課によると、ネット上の個人の書き込みに対して直接的に注意喚起することは珍しいという。
岩手県は全国で最後まで感染者が確認されなかったことから、「1人目を出したくない」と県外客を断る飲食店が出るなど、過剰とも言える反応が目立っていた。そんな中、中傷に歯止めをかける同課のツイートは800件近くリツイートされ、フォロワー数が約200人増加した。相談も数件あったという。担当者は「中傷に対する不安が反響に表れている」と語る。
大浜健志本部長も今月9日の会見で「新しい生活様式の中、これまで以上にネットの利用が進む」と対策の必要性を強調した。今後もサイバーパトロールなどに力を入れる。
県も中傷を防ぐ活動に力を入れている。県内で初めて感染が確認された男性が勤務する会社は「地域に不安を与えないため」と感染を公表したが、直後からネット上に本人や家族の住所・氏名を特定しようという動きが出た。達増拓也知事は最初の感染者発表から2日後の記者会見で「犯罪に当たる場合もある。鬼になる必要もあるかもしれない」と語った。
県はその会見直後から、県が管理するツイッターなどに書き込まれた悪質なコメントを保存し、被害者が提訴を考えた時に役立てられるよう準備している。今月24日までに十数件を保存したという。県広聴広報課の担当者は「こうした取り組みが『県も見ている』というアピールになる。悪質な言動の抑止力になれば」と語る。