《神奈川県座間市のアパートで平成29年、男女9人が殺害された事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた白石隆浩被告(29)の裁判員裁判。東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)では初めての被告人質問が始まったが、弁護側の質問に白石被告は一切答えず、開廷から5分強で休廷に。午後1時半に再開すると、弁護側の被告人質問は行わないまま、検察側の質問に移った》
検察官「白石被告人、弁護側からは答えなかったが、私からのものは答える気はあるか」
白石被告「はい、あります」
検察官「事件が発覚した平成29年10月30日から3年。その日のことは覚えているか」
白石被告「覚えています」
《澄んだ明るいトーンの白石被告の声が、法廷内に響く》
検察官「警察官が訪ねてきたときには、Iさん(9人目の被害者)を知らないと答えた。しかし、自ら上申書を作成し9人の殺害を認めた」
《上申書を白石被告に示す検察官。そこには自筆で「お金と性欲が目的で9人殺した」といった内容のことが書かれている》
検察官「お金と性欲が犯行の動機か」
白石被告「はい、間違いありません」
検察官「なぜすぐに認めたのか」
白石被告「遺体を処理し引っ越し、証拠隠滅をする前に警察が来たので、あきらめてすべて白状することにしました」
《淡々と話し続ける白石被告》
白石被告「最初についた弁護士の説得で黙秘も考えましたが、外の状況や事件の大きさから諦めて、白状することに切り替えました」
《検察側からの質問は、最初の事件を起こすまでの白石被告の経緯・経歴に移る》
《高校卒業後、白石被告はスーパーマーケットでのパン職人、携帯電話のショップ店員、パチンコ店など職を転々とした》
検察官「最終的にはどうなりましたか」
白石被告「女性を風俗店に紹介するスカウトです」
検察官「具体的には」
白石被告「風俗の仕事を探している女性に路上やネットで接触し、その女性が希望している店を紹介する作業です」
白石被告「ネットが中心でした。主にツイッターでハッシュタグ高額求人、風俗、すぐに稼げる、どこの地域でいくら稼げます、などとつぶやきました」
白石被告「ひと月に数十人紹介しました。基本給が20万+手当て。非常に楽な仕事でした」
《しかし平成29年2月、スカウトの仕事によって白石被告は職業安定法違反の罪などで起訴される。保釈されると、神奈川県座間市の実家に帰った》
検察官「実家での生活は何年ぶりでしたか」
白石被告「5年ぶりくらいでした」
白石被告「冷蔵倉庫内でのアルバイト、商品のピッキングなどをしました。スカウトで体を動かさず、体力的にきつく感じた」
白石被告「もともと父と折り合いが悪く、父とうまくいかず、家に居づらかった」
《この頃、実家を早く出て女性のヒモになりたいと考えたという白石被告。徐々に、犯罪史に残る今回の事件へとつながる「芽」が出始める》
白石被告「女性の家に転がり込んで養ってもらう。もしくは金をひっぱるということです。ツイッターを使ってキーワード検索をし『疲れた』『さみしい』『死にたい』とつぶやいている女性をフォローしたりダイレクトメールを送ったりしました」
検察官「どうしてそのような女性を狙ったのか」
白石被告「何か悩みや問題がある人の方が口説きやすいと思いました。操作しやすいということです」
《金銭的な余裕のある女性を口説き落とした経験がなく、悩みのある女性を狙ったなど、理路整然と話を続ける白石被告。同年5月、起訴された職業安定法違反罪について有罪判決が出ると、倉庫でのアルバイトをすぐにやめたという》
白石被告「自分の更生のアピールのために働いていたので、(判決が出て)その必要がなくなったからやめました」
《その後はツイッターで女性を探したり、家でゴロゴロしたりしていたという白石被告。野宿をするほど家に居づらかったという。アルバイトをやめると、女性探しが本格化していく。「一緒に死にませんか」などとツイッター上などで知り合った女性にメッセージを送っていたという》
検察官「これまで自殺したいと思ったことはあるか」
白石被告「ありません」 検察官「なぜ自殺願望があるふりをしたのか」
白石被告「自殺願望がある人は一緒に死にたい、などというと信頼を得やすいのです」
《女性ばかりをフォローすると「やり目」(女性と性交するのが目的)とバレてしまうから、男性アカウントもフォローしていたという白石被告。説明は論理だっている》
《検察側は5月ごろから白石被告が「包丁での殺し方」や「殺人サイト」の閲覧履歴があると指摘した》
白石被告「当時私はスカウトで知り合った仲間とカネの貸し借りがあった。見つかったら何をされるか分からないから、差し違えるために出刃包丁を持っていた」
《他にもナタを持っていたという白石被告。別の殺し方についても検索していたという》
検察官「この頃から殺人したいと思っていたのか」
白石被告「殺人には一切興味がありませんでした。