駅前ショッピングモールにクマ侵入、13時間立てこもり後に射殺 石川県JR加賀温泉駅前「アビオシティ加賀」

19日午前7時50分ごろ、石川県加賀市のJR加賀温泉駅南口前にある商業施設「アビオシティ加賀」に、クマが侵入したとの110番通報があった。施設は開業時間前で、県警大聖寺(だいしょうじ)署によるとけが人はいない。クマは通報から約13時間後の午後9時10分ごろに射殺された。同県では例年と比べて今年はクマの出没が相次ぎ、17日には、今回の現場から3キロ弱の場所で男女3人がクマに相次いで襲われたばかりだった。
「クマが侵入しました」。朝のショッピングモールに突然アナウンスの音声が響きわたり、開店準備に追われる従業員らの間に緊張と恐怖が走った。
市や大聖寺署などによると、施設内にクマが侵入したのを従業員が発見し、110番通報した。クマは体長約1・3メートルの雄の成獣で、建物の北東部にある搬入口から侵入した可能性がある。開店前だったため客はおらず、従業員やアルバイトらはすぐに屋外に避難。施設は臨時休業となった。市や県の職員と警察、猟友会らが施設内の防犯カメラや、小型のドローンを駆使して建物内の様子を捜索した。
午後1時ごろ、防護盾を持った機動隊員と共に麻酔銃とみられる銃を持った男性が施設の中へ。同2時半には、けが人の発生に備え、消防の特別救助隊の車両が到着した。その後は長期戦の末、クマは同9時10分ごろ射殺された。施設内にいた男性は警察から聞いた話として「クマは倉庫の棚の一番下に隠れており、猟友会が3発撃って射殺した」と話した。クマを入れたとみられる袋は同9時45分ごろ、搬入口に横付けした軽トラックの後部に載せたおりに移されて搬出された。
施設の運営会社のスタッフは「昨日、一昨日も近くでクマの目撃情報があったので、仲間とは『怖いね』と話していたのですが…。朝、クマが侵入したというアナウンスが流れた時は驚きました」と振り返った。搬入口付近にある倉庫には、大量の食料品が置かれていたという。
県生活環境部によると、今年の県内でのクマの目撃情報は13日までで400件。近年では多かった昨年1年間の350件をすでに上回っている。優等列車も停車する加賀温泉駅は、加賀市(人口約6万3000人)の中心駅で、住宅街近くで目撃されるのは異例という。クマの好物であるブナやミズナラの実が不作で、食料を探しに人里まで山を下りて来るためとみられる。県は9月11日に出没注意情報、今月8日に10年ぶりとなる出没警戒情報を出していた。
16日には白山市で4人、17日にも今回の現場から南に2・7キロ離れた山代温泉近くで3人がクマに相次いで襲われて負傷した。県は「クマが冬眠に入る11月末頃までは、例年目撃情報が多く注意が必要」とし、ホームページなどで警戒を呼び掛けると同時に、対応などについて指導をしている。