高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場の選定に向けた文献調査に名乗りを上げている北海道寿都町で3日、反原発を訴える小泉純一郎元首相が講演し、国の処分方針に異論を唱えた。
文献調査に反対している町内の住民団体「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」が主催。会場の町総合体育館には、感染対策の距離を取った上でほぼ満席となる約420人が集まった。
2001~06年に首相を務めた小泉氏は在任中、原発推進の立場だったが、政界引退後の11年に起きた東日本大震災を機に脱原発の姿勢に転換。「原発は安全第一でなく収益第一だ」と訴え、各地で講演などをしている。
小泉氏は、福島第1原発の廃炉作業の難航を例に「今の技術では原発はどうすることもできない」と指摘。「処分場がないのに、まだ原発からごみを出そうとしている。原発を減らさなければならない」と述べた。高レベル放射性廃棄物はフィンランドで世界で最初の地層処分が進みつつあるが、小泉氏は「(現地は)火山も断層も地震もない岩盤に囲まれた島。日本ならどこに造ればいいのか」と安全性を疑問視した。
ただ、約1時間半の講演で核のごみに言及したのはわずかで、地層処分以外の方策についても触れなかった。町民の会の共同代表の吉野寿彦さん(60)は「元総理が来てくれたことの意味が大きい。核のごみは将来必要のないことだと改めて教えてもらった」と話した。【高橋由衣】
講演の要旨
自民党総裁として、原発推進の立場にあったが、福島原発事故を機に、原発は安全第一ではなく収益第一だと分かった。福島原発で事故を起こした原子炉も、処理するまで何年かかるか分からない。
世界で唯一、最終処分場の建設が進められているフィンランドのオンカロを視察した。ただ、国内にある原発4基のうち2基分のごみしか入らない。火山や地震、断層がなく岩盤に囲まれた島の地下400メートルに2キロ四方の部屋があり、そこで核のごみを約10万年保管する。日本であれば温泉が出る深さだ。
(核のごみは)国内で処理しなければならないが、日本には54基の原発がある。再稼働してはいけない。何としても原発の数を減らさなければいけない。福島の事故というピンチをチャンスに。風力や水力などの自然エネルギーが大切だ。