帰国者コロナ感染急増も「入国制限緩和」大丈夫か 北村義浩氏「日本より拡大していない国に限定すべきだ」

新型コロナウイルス第3波で、国内の感染拡大阻止に加え、海外からの水際対策も急務だ。政府は10月末以降、全世界から入国制限を緩和したが、入国時の検疫で陽性が発覚した例も急増している。11月30日からは中国とのビジネス往来も再開させたが、重症者が増えて各都道府県の医療態勢が逼迫(ひっぱく)するなか、専門家は制限緩和には慎重であるべきだと訴える。
30日の新型コロナによる国内の重症者は前日から10人増えて472人となった。8日連続の最多更新。死者は計26人だった。
そうした中、日中両政府は、ビジネス関係者らのビザの申請受け付けを始めた。主に出張など短期滞在者を対象に、条件付きで14日間の待機期間中も経済活動を認める「ビジネストラック」と、駐在員ら長期滞在者向けの「レジデンストラック」を再開させた。
政府は10月1日からビジネスや留学などの中長期滞在者を対象にした入国制限を緩和。同30日からは、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国など9カ国・地域の感染症危険情報を「レベル3」(渡航中止勧告)から「レベル2」に引き下げ、帰国・入国の際の検査が原則不要になった。
菅義偉首相は10月末の参院本会議で、海外との人の往来について、「防疫措置をしっかりと講じ、感染拡大の防止と両立する形で段階的に再開していく」と述べた。
ただ、11月の空港検疫での陽性者数は30日公表分までで346人と月単位で過去最多だ。発熱やせき、倦怠(けんたい)感、味覚障害など有症状者が23人にのぼる。一日に26人の陽性者が出た日もある。
行動歴をみると、最も多いのが米国で88人、次いでインドネシアが48人、フィリピンとロシアが20人、ネパールが19人と続く。米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、12月1日朝現在、累計の死者数は米国が26万7635人、インドネシアは1万6945人と日本よりも状況は深刻だ。
日本医科大の北村義浩特任教授(感染症学)は「空港検疫を強化すれば陽性者数も増え、1つの自治体に匹敵する数になりかねない。医療逼迫のリスクがある中で、陽性者受け入れの課題も生じるほか、検査の試薬の数にも限界が出てくる」と指摘する。
国内外の動向からみて、制限緩和には慎重になるべきだという。
北村氏は「陰性証明を持参しているのに検疫で陽性になった例もあると聞く。現地での検査後に感染することも十分にある。少なくとも国内で再拡大している間は、受け入れは日本よりも感染が拡大していない国や地域にとどめるべきではないか」と強調した。