「あなたは被害者?加害者?」トラブルになりやすい運転とは…発端理由が被害者側のケースも

警察、事例・注意点を紹介し啓発

悪質なあおり運転が社会問題となる中、各地の警察が「あおられない」ことに主眼を置いた啓発活動に力を入れている。あおる側に非があるのは当然だが、被害者側の運転がきっかけになるケースもあり、トラブルになりやすい運転を広く知ってもらうことで、被害を未然に防ぐ狙いがある。(河部啓介、三味寛弥)

「車間距離を詰められたと感じ、注意するためにブレーキをかけたのに、無視されたと思った」。京都府与謝野町で軽乗用車を運転中、後ろの乗用車に対し、急ブレーキを踏んだ女(32)(起訴)は府警にこう供述したという。その後、さらに急ブレーキをかけ、後続車を追突させた道路交通法違反(あおり運転)容疑で9月に書類送検された。
乗用車の男性(36)には車間距離を詰めた認識はなく、府警の聴取に「なぜ何度も急ブレーキをかけられたのか全然わからなかった」と話した。ただ、府警が確認したところ、わずかな時間、車間距離が近づいた瞬間があったという。
府警は、「認識のずれ」があったと分析し、「ちょっとしたことで、いらいらを募らせるドライバーがいることを意識してほしい」と指摘する。

道交法の車間距離保持義務違反の摘発は2018年に前年の約1・8倍の1万3025件に増え、今年6月に「あおり運転(妨害運転)罪」を新設した改正道交法が施行された。
「チューリッヒ保険会社」が6月にドライバー2230人を対象に行った調査では、あおり運転をされたことがある400人のうち、約3割の116人が「きっかけが思い当たる」と回答。「追い越しをした」「車線変更をした」などが挙がった。

京都府警は10月、どのような運転がトラブルになりやすいか知ってもらおうと、啓発チラシを作成した。
チラシでは、追い越し車線をゆっくり走っていた車があおられたり、道に迷って車線変更した車がパッシングされたりしたケースを漫画で紹介。左車線の走行や、道順の事前確認などを呼びかけている。
埼玉県警はユーチューブで動画を公開。車の前に割り込んだバイクがあおられる様子を流し、「あなたは被害者? それとも加害者?」と問いかけている。担当者は「あおる側が悪いという前提の上で、事件の原因となる状況を理解しやすく説明したかった」と話す。
愛知県岡崎市の「愛知ペーパードライバースクール」では、車間距離の保ち方や、ウィンカーを出すタイミングなどを指導している。滝大介代表(41)は「運転を少し見直すことで、トラブルを避けられる」と話した。