先週1週間は、新聞各紙の朝刊1面が対照的で興味深かったですね。
水曜日、産経新聞と朝日新聞の1面トップは、吉川貴盛元農水相が鶏卵業者から現金を受け取っていた疑惑でした。毎日新聞と東京新聞も1面肩で同じニュースを扱いましたが、見出しは違えど中身の文言がそっくり! 産経と毎日、東京はいずれも共同通信加盟社で、署名なしの記事だったことを考えると、共同の配信記事であることが推察されます。
ということは、朝日と共同が同じネタ元から記事を書いたということでしょうか? ちなみに、この日の読売新聞朝刊には吉川氏絡みの記事は一つもありませんでした。
翌日は読売の逆襲です。今度は一紙だけで、安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した前夜祭の費用補填(ほてん)問題をスクープしました。見出しは「公設第一秘書を立件へ」。前夜祭をめぐる問題は、常に読売がスクープし、他紙が後追いする展開が続いています。
安倍氏側は、前夜祭は参加者の会費で賄っていたと説明していましたが、読売は11月23日の朝刊で、実は費用の一部を事務所が補填していたと最初に書きました。政治資金収支報告書への記載漏れや、公選法違反(寄付行為)に当たるのではないかと盛り上がりました。
そこから、「飲食費は参加者持ちだったが、会場費を事務所が持っていた」と秘書が任意で供述したことが明らかになり、それでは公選法違反は無理で、政治資金規正法違反になる-という相場観まで、新聞が提供する展開になりました。
不思議なのは、前夜祭では独走状態の読売が、吉川氏の古典的な贈収賄疑惑にはノーマークだった点。逆も真なりで、朝日と共同は、吉川氏の疑惑が、河井克行、案里夫妻による参院選での大規模買収事件の関連先として鶏卵業者を家宅捜索した際に出てきたことまで詳細に報じる一方で、前夜祭では後追いに甘んじているのです。
私のような部外者には、一体何が起こっているんだか、さっぱり分からないのですが、一つ言えるのが、一連の報道で、くすぶっていた「1月解散」の話が急に沙汰止みになったことです。
今まで解散風が吹いていたのは、菅義偉内閣や自民党の支持率が高いうちに選挙となれば、選挙に弱い現職でも当選可能という期待があったから。それが、与党議員の疑惑続々などと書かれたら、期待もしぼんでしまいます。
また、メディアは疑惑追及にかかりきりになり、野党は追及チームを設置して徹底解明に乗り出しています。足元で新型コロナの感染拡大が続くなか、その対応の遅さへの批判が集まりにくい状況がつくられているようにも見えます。あれ? となると漁夫の利を得たのは…?
■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。