内閣発足から3か月を迎える菅首相は、首相官邸に隣接する首相公邸には入らず、車で3分の住み慣れた衆院議員宿舎から官邸に通い続ける。2・26事件など惨劇の舞台になった公邸には幽霊のうわさもあり、最高権力者の館でありながら8年にわたって居住者不のままだ。
安倍氏も菅氏も 居住者8年不在
首相が執務する官邸に対し、首相の居宅を公邸と呼ぶ。
菅首相は就任直後の内閣記者会のインタビューで、公邸に入居するかどうかを問われ、「公邸に入るか否かにかかわらず、政府の危機管理に遺漏がないように努める」と明言を避けた。警備上の問題や危機対応の面から入居を勧める関係者は多いが、首相にその気配はない。
公邸は鉄筋コンクリート4階建てで、延べ床面積は約7000平方メートルに及ぶ。国家公務員宿舎法に基づき、首相は無償で入居できる。住まいとしての機能のほか、執務室や迎賓用のホールも備え、各国首脳との電話会談や晩さん会などに活用される。菅首相も9月の就任以降、トランプ米大統領、中国の習近平国家主席らとの初めての電話会談の際に公邸を利用した。主が不在でも、年間の維持管理費として今年度予算では約1億6000万円が計上されている。
旧公邸の老朽化に伴い整備された現公邸は、1929年築の旧官邸を解体せずに移転させたものだ。総重量約2万トンの建物の下に台車を置き、油圧ジャッキを使って秒速1ミリという超スローペースで南へ約50メートル動かす国内最大級の
曳家
( ひきや ) 工事だった。大規模改修を経て2005年4月、新たな公邸に生まれ変わった。