和歌山県田辺市で2018年、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた会社社長、野崎幸助さん(当時77歳)が死亡した事件で、殺人などの容疑で逮捕された元妻、須藤早貴(さき)容疑者(25)が事件前、スマートフォンで殺害方法などを検索した形跡が残っていることが捜査関係者への取材で判明した。県警は、野崎さんに離婚を求められたことが引き金となり、計画的に殺害したとみている。
県警は29日、須藤容疑者を和歌山地検に送検した。
須藤容疑者は18年5月24日、当時一緒に住んでいた田辺市内の野崎さん宅で、致死量を超える覚醒剤を野崎さんに飲ませ、急性覚醒剤中毒で死亡させた疑いが持たれている。
捜査関係者によると、県警が須藤容疑者のスマホを解析したところ、インターネットで殺害方法や覚醒剤の入手方法などを複数回にわたって検索した形跡が残っていた。
また、須藤容疑者がSNS(ネット交流サービス)で覚醒剤の密売人と連絡を取っていたとみられる形跡もあり、2人のスマホには同じ時間に、田辺市内の同じ場所にいたことを示す位置情報が残っていた。
須藤容疑者は事件3カ月前の18年2月、野崎さんと結婚。野崎さんが経営していた会社の関係者によると、須藤容疑者が月100万円受け取ることが結婚する条件だったという。
しかし、須藤容疑者は結婚後、当時住んでいた東京都内の自宅と田辺市内の野崎さん宅を行き来しており、野崎さんは「(妻が)東京から帰ってこない」と周囲に不満を漏らしていた。
事件前、野崎さんが須藤容疑者に対して離婚届を書くよう求め、須藤容疑者が拒んで口論になっていたとの目撃証言もあった。
県警は、須藤容疑者が離婚によって月100万円の収入が途絶えることを懸念し、殺害を決意した疑いもあるとみて動機の解明を進めている。【山口智、木村綾】