感染者急拡大で業務増 休日返上で対応に追われる保健所に危機感

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い福岡県など7府県に緊急事態宣言が再発令されて1週間が過ぎた。市民からの健康相談や入院先などの調整に対応する保健所は、感染の急拡大で業務が増えていることに加え、療養先が決まらないなどで自宅にいる感染者の健康確認も新たにのしかかり、多忙を極めている。
「何時くらいだったら検査に行けますか。調整します」。19日午後、福岡県糸島市の糸島保健福祉事務所では、職員らが発熱などの症状がある市民の電話対応に追われていた。市民や医療機関などから電話はひっきりなしにかかってくる。「今日はお昼ご飯を食べる時間があったのでまだいい方です」。保健衛生課の松尾寿子課長が苦笑した。
13日に国の緊急事態宣言の対象地域に追加された福岡県では、2020年12月から増え始めた感染者が今年に入って急拡大し、1月6日からは4日連続で300人超を記録。同16日には過去最多の411人を数えた。
感染者が多く出ている福岡市が通勤通学圏の糸島市も例外ではなく、20年10、11月は20~30件だった1日当たりの相談件数が、最近1週間は60~70件と急増。保健福祉事務所では、看護師や保健師資格を持つ臨時の相談員や他の部署からの応援を加えた主に10人前後で新型コロナの対応に当たっているが、年末年始は交代で1、2日休んだ程度で休日返上の体制が続く。
また福岡県では、入院先や宿泊療養施設が決まらないなどで自宅待機する感染者が20日現在、過去最多の2836人に上った。病院や施設につなげれば感染者を医療従事者らに引き継げるが、自宅の場合は引き続き保健所が感染者の健康確認をすることになる。
県がん感染症疾病対策課によると、自宅にいる感染者には保健所が1日1回、体調を確認し、症状が悪化すれば県の調整本部に連絡し、入院調整する流れになっている。全国で自宅待機中の感染者が死亡するケースも相次いでいる。佐野正課長は「自宅で死亡した事例は県内ではない。軽症でも高齢者や基礎疾患がある人は優先的に宿泊療養のホテルに入れるようにしている。しかし、ここにきてホテルを確保できず滞っているのが課題だ」と話す。
緊急事態宣言の対象地域ではない自治体でも、保健所は対応に追われている。
宮崎県は20年12月末時点で19人だった自宅にいる感染者が1月17日発表時点で266人と急増。県内の保健所では、1人暮らしの高齢者を優先して毎日午前中に電話を入れ、体調の確認をしたうえで医師の往診を勧めたり、入院調整したりしている。県福祉保健部は「昨年末からの『感染爆発』で自宅にいる感染者が一時10倍以上に急増し、保健所の業務が増えている」と危機感を募らせている。【谷由美子、吉住遊、上入来尚】