国内の動物園が、園内の動物への新型コロナウイルス感染に神経をとがらせている。国内で感染例はないが、海外では人からとみられるゴリラやトラなどへの感染が確認されており、各園は来場者に離れて見学してもらうなどの対策を進める。警戒を強める背景には、過去に感染症で動物を安楽死させた苦い経験などがある。(杉本和真、蛭川裕太)
■触れ合い中止
「動物を近くで見ていただけないのは心苦しいが、やむを得ない」。千葉市動物公園の清田義昭副園長は、実施中の感染対策について複雑な心境を明かす。
園は昨年3月から順次、オランウータンやゴリラ、レッサーパンダなど7種について、獣舎から約2メートル離れた場所に赤いコーンとポールを張り巡らせ、来場者と動物の距離を確保する対策を実施している。
羊やヤギなどにエサを与える触れ合いイベントも中止し、飼育員らの靴の消毒をさらに徹底しているほか、飼育員同士の接触を減らすために事務所を3か所に分けるなどしている。
清田副園長は「どこから感染するかわからない以上は、できることを全てやるしかない」と話す。
「イケメンゴリラ」で知られる東山動植物園(名古屋市)でも、飼育員の手袋とマスクの着用に加え、昨年3月以降はパソコンを使う度に消毒したり、異なる場所で昼食を取ったりしている。教育普及担当の今西鉄也さん(49)は「人に近いゴリラなどは感染しやすい可能性があり、より慎重な対策が必要だ。感染例などの情報を共有するようにしている」と語る。