新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令されていた昨年春、千葉県内の交通人身事故は交差点で起きた割合が高かったことが、県警の分析で分かった。徒歩の高齢者が午前中、事故に遭うケースも目立った。県警は「交通量や外出の機会が減り、注意力が散漫になった可能性がある」とみている。
県警交通総務課によると、宣言下の昨年4月7日~5月25日に発生した人身事故は1089件。外出自粛の影響で、過去5年の同期間の平均(2272件)と比べて半減した。
一方、交差点付近での事故の割合は、平均20・1%から27・3%へと上がった。死傷者の年代別では、高齢者の割合が平均15・6%から18・0%に増加。高齢者の状態別でみると、歩行中が26・9%を占め、午前10時~正午の時間帯に偏っていた。これまで割合が高かった夕暮れ時は減少した。
宣言が再発令された後の今年1月中の死者は7人で、いずれも高齢者だった。このうち5件が交差点付近で起きており、昨春と同様の傾向がみられるという。
分析は全国的に珍しい試みで、県警は平時との傾向の違いを把握し、取り締まり場所を変えるなどの対策に活用する。同課は「交通量が少ないと、ドライバーも歩行者も油断しがちだ。いつも以上に安全確認を心がけてほしい」としている。