新型コロナウイルス緊急事態宣言は2週間延長されたが、最大の懸念材料が変異株の市中感染だ。一部ではクラスター(感染者集団)も発生しており、「第4波」を引き起す恐れもある。対策はこのままでいいのか。
厚生労働省の5日時点の指標では、1週間の新規感染者数の前週比が18県で1以上となった。首都圏で千葉県が1・03、神奈川県が1・08と増加に転じたほか、埼玉県は0・97、東京都は0・96と1に近づいた。東北や中部、関西などでも増加が目立つ。
感染症に詳しい関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)は、「世界保健機関(WHO)の調査で、世界の感染者数は1月から6週間程度減少傾向だったが、3月初頭に7%増に転じた。変異株と制限の緩和、自粛疲れが背景にあるとされ、日本もいつかはこの趨勢に乗るだろう」との見通しを示す。
東京医療保健大の菅原えりさ教授(感染制御学)は、「現状の対策では東京都の1日の新規感染者数を200~300人から下げるのは厳しい。さらに懸念される変異株の増加もあり、このままでの宣言解除ではリバウンドは避けられないのではないか」と分析する。
変異株の英国型は感染力が高いため、高齢者層に広がれば重症者も増え、再び医療が逼迫する懸念がある。南アフリカ型には免疫逃避の変異もあり、ワクチンが効きにくくなる恐れもあるという。政府は英国、南ア、ブラジルなど17カ国を変異株の流行国に指定、水際対策を強化するが、変異株は120カ国・地域で確認されており、「ザル入国」状態は続く。
変異株の脅威について、海外でも悲観論が広がっている。ロイター通信は変異株はワクチンの効果を弱める可能性だけでなく、過去の感染者の自然免疫もくぐり抜ける恐れがあることを示したと報じた。
勝田氏は、「全陽性者数のうちの変異株の比率を発表していくべきだ。欧米では50%を超えて蔓延といえる状況の国もある。陽性者数や病床使用率を注視しながら、柔軟な対応が求められる」と指摘する。
菅原氏は「宣言解除後の新規感染者の増加をできるだけ緩やかにするために、現状の同患者数を減らす必要がある。例えば、この2週間は全イベントを中止するといった踏み込んだ対策が必要ではないか」と強調した。