宮城県警石巻署は10日、東日本大震災の津波の後に行方不明になり、今年2月に宮城県東松島市で見つかった奥山夏子さん(当時61歳)の遺体を遺族に引き渡した。震災から10年を経て母の遺体を受け取った長男英樹さんは「母を発見してくれた方、10年間捜索してくれた方に感謝しています」と話した。
遺体は白いひつぎに納められ、引き渡された。英樹さんは「母がいなくなって10年間、相談したい時、頼りたい時がたくさんありました。10年を迎えるにあたって発見されたことは、母がいなくても1人でやっていけるというメッセージかと思う。前を向いてしっかり生きていきたい」と語った。
石巻署によると、奥山さんは東松島市在住で、地震発生時は同市内にあるのり店で勤務中だった。自宅に戻る際に津波に巻き込まれたとみられ、家族が行方不明者届を出していた。奥山さんは当時、夫と英樹さんとの3人暮らしで、夫は震災後に亡くなった。
それから10年たった今年2月17日、奥山さんは同市内にある会社の敷地内で見つかった。地中に埋もれた状態で、かっぽう着や長袖シャツなどを身につけ、ほぼ全身の骨が残っていたという。歯の治療痕やDNA型鑑定によって奥山さんと特定された。【藤田花】