時短命令は「違憲」…飲食チェーンが都に104円賠償請求

東京都から新型コロナウイルス対応の改正特別措置法に基づく時短営業の命令を受けた飲食チェーン「グローバルダイニング」が22日、命令は「営業の自由を侵害し違憲で違法」として、都に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。コロナ禍における時短命令の違憲性、違法性を問う提訴は初めてとみられる。
「私は日本にお世話になってきた。民主主義社会の日本でこのようなことが行われたことは看過できない」。グローバルダイニングの長谷川耕造社長(71)は東京地裁で会見し、提訴に至った胸中を明らかにした。
都は18日に全国で初めて、時短要請に応じなかった27店舗に21日までの4日間、午後8時以降の営業停止を命じた。うち26店舗を経営する同社は「時短命令」を受け、営業時間を短縮した。
長谷川社長は時短要請には約2000店舗が応じていないとして「要請に応じないことをフェイスブックなどで情報発信した原告を狙い撃ちにしたもので、法の下の平等や表現の自由を侵害した」と主張。さらに「飲食店が主な感染経路である明確な根拠もなく、営業を一律に制限することは、営業の自由などに反する」とも指摘し、命令を出した小池百合子都知事には職務上の注意義務違反があると主張した。
会見に同席した代理人の倉持麟太郎弁護士は「空気の支配、無法の支配が表出したにすぎない。声なき声を集約するプラットフォームになれば」と語り、本件には一企業の訴訟にとどまらない意義があると訴えた。費用をクラウドファンディングで集めた今回の訴訟は、行政のコロナ対策が国民生活や経済を過剰に制限する是非について問題提起することが目的として、損害賠償請求額は1円×26(店舗数)×4(時短営業日数)で104円とした。
首都圏を中心に40数店舗を運営する同社は、“イタメシブーム”の「ラ・ボエム」など深夜営業のおしゃれな飲食店を次々と成功させ、若者たちの支持を得てきた。長谷川社長は「営業を短縮しないことでお客様に被害を加えることは絶対にあり得ないと確信していました」と私見を語り、1社のみで提訴に踏み切ったことについては「僕はあまのじゃくで日本的ではないんでしょう。言いたいことを言った人間に懲罰を与える行動が許されるでしょうか」と語った。
小池都知事はこの日夕、都庁で記者団の取材に応じ、「これは(新型コロナ)特措法に則(のっと)った手続きだ」と反論。都による同社への時短営業要請や命令については「丁寧に手続き通りの流れでこれまでやってきている。これ以上のコメントは本日いたしません」と述べるにとどめた。
◆政府は憲法違反否定
〇…政府は22日、新型コロナウイルス対応の特措法に基づく営業時間の短縮命令が憲法上の「営業の自由」に反しないとの立場を鮮明にした。同時に、権利の制限で生じた損失の補償も義務付けられないと強調した。加藤勝信官房長官は記者会見で、東京都の時短営業命令について〈1〉感染防止の目的に合理性が認められる〈2〉時短措置が合理的な範囲〈3〉権利制限が必要最小限度―と説明。憲法22条に基づく営業の自由に「反するものでない」と述べた。
◆飲食店に対する時短要請 政府は1月7日に発令した緊急事態宣言で飲食店の営業時間を「午後8時まで」に短縮要請。事業者への協力金を1日あたり一律6万円にしたことに対し「不公平」との声が多くあった。宣言は21日に解除され、時短要請は「午後9時まで」に。協力金も一律4万円に減額された。
◆グローバルダイニング 長谷川社長が1973年に設立。東証2部。都内を中心に「ゼストキャンティーナ」「ラ・ボエム」「モンスーンカフェ」「権八」など計43店舗を展開。90年代から本格レストランの深夜営業形態を導入。2002年には小泉純一郎首相、ブッシュ米大統領(いずれも当時)が権八西麻布店で夕食を共にし、注目を集めた。