「夢は火星に行って…」科学未来館長20年の毛利さんが退任会見

元宇宙飛行士の毛利衛さん(73)が26日、日本科学未来館(東京・お台場)の館長を3月末で退任するのを前に東京都内で記者会見を開いた。開館当初から館長を務めた20年間の歩みを語り、最も印象に残ったことを「2009年の事業仕分け。(館の存続が)ギリギリに立たされた」などと率直に振り返った。自身の今後については「地域の科学館の活動のお手伝いをしていきたい」と語った。
科学未来館は01年に国立の科学館として開館。民主党政権下で実施された事業仕分けで矢面に立たされたが、毛利さん自ら必要性を説明するなど奔走した。一般の人と対話しながら科学を伝えることを重視し、そうした役割を担う「科学コミュニケーター」を、これまでに267人輩出してきた。
毛利さんは「今までに無い科学館を作るため、(どこかの)まねでは無いもの、ここにしか無いものを作ろうとやってきた」と言う。常設展示では未来社会の課題を斬新な手法で提示。研究者の監修の下、デザイナーを交えて見せ方の工夫を重ねてきた。「単に知識を伝達するのではなく、考えてもらう場所にしたかった」という。
日本人で初めて米国のスペースシャトルに搭乗した毛利さんは、宇宙政策についても問われると「火星に人間が行くと言われるようになったが、そのハードルは低くない。危険があり、お金もかかる。その価値がどこにあるのかオープンに話すことが重要」と冷静に指摘した。一方で、自身の「夢」として「まだ節制して運動もしているので、火星に行ってオリンポス山を見たい。帰ってこなくてもいい」と冗談めかして語った。
毛利さんの後任の館長には、米IBMワトソン研究所フェローで視覚障害を持つ浅川智恵子さん(62)が4月に就任する。【池田知広】