犬山市「犬山城天守、現存最古」 専門家「勇み足」と指摘も

愛知県犬山市は29日、国宝犬山城天守(4階建て)で使用されている木材の年輪を調べた結果、1590年ごろまでに天守が建設されたことが明らかになったと発表した。現存天守で犬山城が最古かどうかは諸説あったが、市は「今回の調査で最古と明らかになった」と説明した。ただ「木材の伐採年代の特定だけで最古と言い切るのは勇み足」と指摘する専門家もいる。
建設時期は従来、1537年と1601年の2説が有力で、犬山城のホームページでは1537年を採用し「日本最古」とうたってきた。
名古屋工業大の麓(ふもと)和善教授(建築史)や奈良文化財研究所の光谷拓実客員研究員(年輪年代学)らが2019年9月~20年末、天守の木材39点の年輪を調べ、年輪幅などから伐採年代を特定。樹皮まで残っている1階の柱は1585年、4階の床のはりは88年の伐採と判定した。ほかの木材も85~88年の伐採と推定された。
また「1、2階建設後に3、4階を増築」が定説だったが、今回の調査で1階と4階の木材の伐採時期が近かったことから、麓教授は「1~4階は同時期の建設と考えざるを得ない」と説明した。
古い現存天守では、松本城(長野県松本市)が1593年ごろの築城とされている。麓教授は犬山城の木材が88年伐採であることから「伐採から完成までに5年も10年もかかるとは考えづらい。1590年ごろの完成と推測できるので、犬山城が最古だ」と述べた。
一方、城郭考古学の第一人者の千田嘉博・奈良大教授は「最古級であることは間違いないが、伐採年代が分かっただけでは建築年代の絞り込みまではできず、最古とは断定はできない。最古論争は続くだろう」と話している。【川瀬慎一朗】