まん延防止追加「あぐらかくと逆に広がる」 医療者、期待と注文

20日から埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県でも適用される新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」。病床の逼迫(ひっぱく)が懸念される中、どこまで感染を抑え込むことができるのか。医療関係者が期待や注文を込めて語った。
新たに重点措置の対象地域となるのは4県の11市。重点措置が先に適用された東京都などと同様、飲食店は午後8時までの営業時間短縮を要請され、大規模イベントの観客は5000人までに制限される。
「重点措置の適用にあぐらをかいていたら(感染は)逆に広がるかもしれない」。そう警鐘を鳴らすのは、埼玉県内の保健所長だ。感染状況を示す政府分科会の6指標のうち病床使用率は、15日時点で30・5%。深刻さの度合いは上から2番目のステージ3(感染急増)相当だ。県内の感染者は30代以下の若者が半数近くを占めるといい「年末年始の『第3波』と同じく、若者から家庭内で親や高齢者に感染が広がり、病床がさらに逼迫する恐れがある」と懸念する。県内の対象地域はさいたま、川口の2市だが「他の地域でも感染予防策を徹底することが大切だ」と指摘する。
3日連続で新規感染者が200人を上回った神奈川県。医師でもあり感染対策をまとめる立場の阿南英明・県医療危機対策統括官は「神奈川にとっては良いタイミング」と重点措置の適用を前向きに受け止める。
県内の感染状況は「(昨夏の)『第2波』を超えている。新規感染者に占める20~30代の割合が高く、数週間後には全世代の感染者が大幅に増える恐れがある」と厳しい見方を示す。冬場の「第3波」当時よりも医療提供体制を強化したものの「余裕があるわけではない。緊張感を持って構えている状態だ」と話した。
横ばいだった感染者数が、15日に急増した千葉県はどうか。県医師会の西牟田敏之・公衆衛生担当理事は重点措置について、変異株の拡大で感染者が増えることを見越した対応とみて効果を期待する。その上で「若い人の感染が増えている。人々が新型コロナにだいぶ慣れっこになっている」と目下の課題を挙げた。
愛知県も感染の再拡大が深刻だ。16日には、3日連続の200人台となる224人の感染者が確認された。柵木(ませき)充明・県医師会長は「重症者も急増する恐れがある。きょうの大阪はあすの愛知と思っている」と警戒感を示す。その上で「緊急事態宣言の方が人々の心に訴える力がある」と述べ、後手に回らない対応が大切だとの認識を示した。
一方、先行して重点措置が適用された東京都。16日の新たな感染者は667人で、16日続けて前週の同じ曜日の人数を上回った。昨年末以降、1日当たりの新規感染者数が急増し2000人超となったのは記憶に新しい。都の担当者は「来週からゴールデンウイークにかけて感染の増大が懸念される。飲み会や会食を慎んでほしい」と呼びかける。【鷲頭彰子、中村紬葵、石川勝義、太田敦子】