愛知リコール不正 元常滑市議「事務局長から指示」 周囲に話す

愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る不正署名事件で、運動事務局の幹部だった元愛知県常滑市議、山田豪氏(52)が「田中孝博・事務局長と共に筆跡が同じ署名簿に指印を押した。田中事務局長の指示だった」との趣旨の話を周囲に伝えていたことが16日、関係者への取材で明らかになった。山田氏は地方自治法違反(署名偽造)の疑いで捜査している愛知県警から任意で事情聴取を受けており、15日に「一身上の都合」を理由に市議を辞職している。
署名偽造を巡り、事務局関係者が関与を認めたのは初めて。関係者によると、山田氏はリコール署名活動が終了した翌日の2020年10月26日、田中事務局長から名古屋市内の事務局に呼び出され、「押印のない署名が大量に送られてくる。署名を完成させるには指印が必要だ」と持ちかけられ、同年10月末~11月初旬に名古屋市内の公共施設に田中事務局長ら数人と集まり、山田氏は署名簿約500枚に指印を押したという。
署名偽造を巡っては、名古屋市の広告関連会社が下請け会社を通じて佐賀県でアルバイト募集していた疑いが浮上しているが、田中事務局長は署名簿について「九州から運ばれてきた」と山田氏に説明したという。
中日新聞は16日、山田氏が田中事務局長の指示で署名偽造に関与したと証言したと報じた。この報道について、田中事務局長は同日、「山田氏から直接聞いていないので内容が正しいかどうかお答えできない。内容を精査し、今後なるべく早く説明の場を設ける」とのコメントを発表した。また、リコール運動団体の代表を務めた美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長は「ただただ驚いている。彼(山田氏)がそう言ったならそういうことだろうし、組織として事務局長が指示するというのは説得力があるが、一方的な情報だけでは何も言えない」と話した。
一方、リコール運動を支援してきた名古屋市の河村たかし市長は同日、山田氏が署名偽造の関与を認めたことについて「市民も構造が分かってきたと思う」と述べ、自身の関与については「気付いていたらやめさせた」と改めて否定した。また、河村氏は署名偽造を巡る独自調査で山田氏にもヒアリングしていたことを明らかにした上で「ワシに言わんかった。黙っとった」と説明。「いたたまれなくなって話したのだろう。田中(事務局長)氏も早く出てきて話をしなければいけない」と話した。【高井瞳、太田敦子、岡正勝】