【コロナ戦争の戦犯】厚労省の「医系技官」はなぜワクチンの早期承認を嫌うのか 接種も遅れ、世界では異例の医療従事者優先

新型コロナウイルスに限らず、人類が感染症と穏やかに共存できるようになるのは、ワクチンを多くの人々が接種したときだけだ。爆発的流行もなくなるし、かかっても症状は軽くなる。PCR検査のように何度も繰り返す必要はなく、1年ほどは安心だ。 新種の伝染病のワクチン開発には、2年とかそれ以上が普通だった。しかし、世界の製薬会社が頑張り、政治家も支援して、欧米では昨年末には接種まで始まった。 ところが、日本では開発も、海外ワクチンの承認や接種も遅れている。厚労省が決めた新薬開発の治験(臨床試験)や承認基準が厳しいままで、海外と違ってアクセルを踏めなかったからだ。 欧米では昨年中に接種が開始された米製薬大手「ファイザー」のワクチンが日本ではやっと2月14日になって承認され、他社のものは、早くても5月中だ。 厚労省の「医系技官」らが早期の承認を嫌うのは、国民が副反応に極端に敏感ということもあるが、コロナ対策の緊急性を理由に海外での実績で例外を認めると、独自の承認システムに「蟻の一穴」が空くと懸念しているようだ。欧米でも専門家は似た立場だったが、政治家が押し切った。 特に、米国のドナルド・トランプ前大統領、英国のボリス・ジョンソン首相、イスラエルのベンヤミン・ネタニエフ首相が剛腕を振るって接種が進み、流行は終息に向かっている。対して、医療界の意見を重視したEU(欧州連合)、特に大臣が医師であるフランスがやや出遅れたのは象徴的だ。 日本では世界でも異例なことに、医療従事者等だけを接種の最優先とし、しかも、コロナ治療の現場だけでなく、美容整形から出入り業者まで拡大できる緩い基準にしたので、勤労人口の8%という480万人もが対象になって高齢者や介護関係者が後回しになった。 海外では、クラスター発生が懸念される高齢者施設入居者や従業者が最優先だ。ドイツでは、80歳以上の高齢者と高齢者施設の職員、コロナ患者に接する狭い範囲の医療従事者らが1位で、80歳以上の人の家族や70歳以上が続き、一般の医師はスーパーの店員や教師と一緒である。死者を減らすなら、高齢者とその感染の最大の原因となる家族、介護関係者を優先させるドイツのやり方が合理的だ。 この順序については、第43回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会(12月25日)で決まったという報道もあったが、この席で厚労省の林修一郎予防接種室長が「新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会(コロナ分科会)」での議論を受けて進めているとしており、主導権はそちらにあったようだ。
新型コロナウイルスに限らず、人類が感染症と穏やかに共存できるようになるのは、ワクチンを多くの人々が接種したときだけだ。爆発的流行もなくなるし、かかっても症状は軽くなる。PCR検査のように何度も繰り返す必要はなく、1年ほどは安心だ。
新種の伝染病のワクチン開発には、2年とかそれ以上が普通だった。しかし、世界の製薬会社が頑張り、政治家も支援して、欧米では昨年末には接種まで始まった。
ところが、日本では開発も、海外ワクチンの承認や接種も遅れている。厚労省が決めた新薬開発の治験(臨床試験)や承認基準が厳しいままで、海外と違ってアクセルを踏めなかったからだ。
欧米では昨年中に接種が開始された米製薬大手「ファイザー」のワクチンが日本ではやっと2月14日になって承認され、他社のものは、早くても5月中だ。
厚労省の「医系技官」らが早期の承認を嫌うのは、国民が副反応に極端に敏感ということもあるが、コロナ対策の緊急性を理由に海外での実績で例外を認めると、独自の承認システムに「蟻の一穴」が空くと懸念しているようだ。欧米でも専門家は似た立場だったが、政治家が押し切った。
特に、米国のドナルド・トランプ前大統領、英国のボリス・ジョンソン首相、イスラエルのベンヤミン・ネタニエフ首相が剛腕を振るって接種が進み、流行は終息に向かっている。対して、医療界の意見を重視したEU(欧州連合)、特に大臣が医師であるフランスがやや出遅れたのは象徴的だ。
日本では世界でも異例なことに、医療従事者等だけを接種の最優先とし、しかも、コロナ治療の現場だけでなく、美容整形から出入り業者まで拡大できる緩い基準にしたので、勤労人口の8%という480万人もが対象になって高齢者や介護関係者が後回しになった。
海外では、クラスター発生が懸念される高齢者施設入居者や従業者が最優先だ。ドイツでは、80歳以上の高齢者と高齢者施設の職員、コロナ患者に接する狭い範囲の医療従事者らが1位で、80歳以上の人の家族や70歳以上が続き、一般の医師はスーパーの店員や教師と一緒である。死者を減らすなら、高齢者とその感染の最大の原因となる家族、介護関係者を優先させるドイツのやり方が合理的だ。
この順序については、第43回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会(12月25日)で決まったという報道もあったが、この席で厚労省の林修一郎予防接種室長が「新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会(コロナ分科会)」での議論を受けて進めているとしており、主導権はそちらにあったようだ。