東京、京都、大阪、兵庫の4都府県で25日から新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令される。飲食店の“禁酒令”や夜間の“灯火管制”、大型店舗の休業要請など厳しい措置を実施するが、5月11日までの17日間で感染者数を減らして解除するのは困難との見方もある。住民に我慢と犠牲を強いる消耗戦となってしまうのか。
4都府県では酒類やカラオケを提供する飲食店や、百貨店など大型集客施設に休業を要請。地下鉄やバスの減便や終電繰り上げを求め、プロ野球やJリーグを含むイベントは原則無観客とする。
東京はさらに厳しい。小池百合子知事は「いま一度、徹底して人流を抑える。ステイホームを実践する17日間とする」と述べ、小規模な商業施設や遊技場、遊興施設、博物館などに独自で休業協力を依頼。公園や路上の集団飲酒に注意喚起する。午後8時以降は街灯を除いてネオンやイルミネーションなどを消すよう求める。
大型連休中の休業要請について、百貨店幹部は「とどめを刺されたといっても過言ではない。店舗数や雇用の維持がより難しくなる」と吐露する。大阪市内のシネコンの担当者も「若い人向けの作品は好調で、大型連休に入るタイミングでいい作品も予定されていた。この流れが途切れるのは痛い」と嘆く。
それでも17日間の短期決戦では終わりそうもない。大阪府の吉村洋文知事は23日、宣言の発令期間について「3週間から1カ月が適切だと思っている」と述べた。大阪では重症病床の使用率が123%。重症者334人のうち57人が軽症中等症の医療機関で、1人が他府県で治療している。
政府分科会の尾身茂会長は解除について「国の指標で最低でもステージ3(感染急増)、ステージ2(漸増)に向かう見込みがあるのが条件」とし、期間内に達していなければ「延長もあり得る」と述べた。
東京医療保健大の菅原えりさ教授(感染制御学)は「飲食店中心の2度目の宣言が下げ止まりに終わったことから、今回は1度目の強い対策に近い形となった。ただ、変異株の動向も読めず、この強い対策の効果も未知数であるため、感染者数を極力減らす必要があると考えれば、5月11日の解除は容易ではないだろう」とみる。
1度目の宣言時は解除まで約1カ月半、2度目の宣言時は約2カ月半に及んだ。今回も延長を重ねる恐れもある。
明星大の藤井靖准教授(臨床心理学)は「感染者数や重症者数などの数字については、長期間繰り返し聞かされるうちに慣れが生じ、自己判断を優先させ、抑制が効かなくなっている」と話す。
吉村知事は、現行制度では感染抑制に十分に対応できないとして「個人に義務を課す法令が必要だ」との見解を示す。
藤井氏は「禁止や罰は人間心理への効果は小さいため、何をしたらいいかが重要だ。飲食店にはテークアウトを実施した場合のインセンティブ(動機付け)を、若者には有名人を起用したオンライン飲み会の広報など、在宅のメリットや新たな楽しみ方を強調すべきだ」と語った。