紀州のドン・ファン事件 残された「愛犬イブ」怪死の謎 映像入手

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山の資産家で実業家の野崎幸助氏(享年77)が覚醒剤中毒で死亡した事件。和歌山県警は4月28日早朝、55歳年下の元妻・須藤早貴容疑者(25)を殺人の疑いで逮捕した。週刊ポスト取材班は、野崎氏が倒れる18日前に急死した、愛犬・イブちゃんが埋葬されるシーンの動画を入手していた。
野崎氏が飼っていたイブちゃんは、2018年5月6日に急死。急に具合が悪くなり、獣医師に診せるために深夜に車を飛ばしたが、野崎氏の腕の中でもがき苦しむように亡くなったという。事件当時、県警は野崎氏の愛犬も覚醒剤を摂取させられた可能性があるとみて、自宅の庭に埋葬された犬の以外を掘り起こし、鑑定を実施した。その結果、血液からも臓器からも覚醒剤の成分は検出されなかった。
野崎氏は、この愛犬のために、地元紙に「訃報広告」まで出していた。
〈御挨拶 野崎 イブは五月六日 午前三時三十五分 永眠致しました 葬儀は五月八日に相済ませました いつも野崎イブを可愛がってくださったことに深謝し衷心より御礼申し上げます 平成三十年五月九日〉
そして、「喪主」として野崎氏の名と、「喪主の妻」として元妻・早貴容疑者の名が掲載されていた。
週刊ポストが入手した愛犬が埋葬されるシーンの動画には、野崎家の庭でかなり深く掘られた穴に手厚く葬られる様子が映っていた。野崎さんが手を合わせ、続いて妻の早貴容疑者も手を合わせているように見える。
イブちゃんの体内からは覚醒剤が検出されなかったものの、それまで元気だった愛犬が突然、もがき苦しむように亡くなったという状況には謎が残っている。
野崎氏は、その愛犬のために「お別れの会」を6月11日に行うことが計画されていた。訃報広告まで出すほど可愛がっていた愛犬のために「お別れの会」を開くのに、野崎氏が自ら覚醒剤を飲むことは考えにくいとされていた。イブちゃんの存在は、野崎氏の“自殺”の線を消す重要な手がかりになったと言えるかもしれない。
“女は裏切るけど、犬は裏切らない”──それが野崎氏の口癖だったという。