岡山、広島両県と北海道に緊急事態宣言が発令される。当初の政府案を変更する急転直下の決定で、各自治体では休業要請の内容を詰めるなど対応に追われた。一方、まん延防止等重点措置が石川など3県に追加適用され、感染急拡大が地方にも及ぶ状況が浮き彫りに。市民からは「対策が後手後手」などと厳しい声も聞かれた。
14日朝、岡山県の伊原木隆太知事の元に一本の電話がかかった。相手は地元選出議員でもある加藤勝信官房長官。「緊急事態宣言になりそうだ」。そう告げられ、事態の急転を知ったという。
県はこれまでまん延防止措置の適用を政府に求め、対象と想定していた岡山、倉敷両市の飲食店に営業時間の短縮、酒類の終日提供取りやめなどを要請していた。伊原木知事は幹部や担当職員と情報を共有し、対策本部会議の開催など県庁は慌ただしさに包まれた。
広島県には、14日午前に開いた対策本部の会議の直前に緊急事態宣言の発令について連絡が入った。湯崎英彦知事は記者団に「先ほど聞いたばかり。我々もどちらかというとまん延防止措置と聞いていたので最終的な決定ができていない。宣言期間の正式な連絡はまだない」と説明。会議では宣言が発令された場合、県内全域で居酒屋やデパートへの休業、時短要請を検討するなど対応方針を決めた。一方、17、18日に平和記念公園などで無観客で行う予定の聖火リレーについて湯崎知事は「感染対策を講じ、安全を確保した上で進めたい」と開催に意欲を示した。
「対策が後手後手」市民は厳しい目
市民はどう受け止めたのか。
この日も多くの乗降客が行き交っていたJR岡山駅(岡山市北区)。親戚に会いに来たという倉敷市の60代女性は「もっと早く宣言を出すべきだったのではないか。一度経験していることなのに対策が後手後手に回っている」と納得がいかない様子。病院からの帰りという岡山市の無職女性(79)も「変異株がまん延している状況なので、宣言を出して少し人出が減る程度では状況は変わらないのでは」と語った。
広島県内では大型連休明けに感染者が急増し、県が12日から広島市中心部の一部で居酒屋などに時短要請を始めたばかり。現在は対象区域外だが、今後要請される見通しの同市中区の居酒屋オーナー、新谷広信さん(52)は「ニュースで知って驚いたが、県内の感染状況を心配していた。急な話には違いないが、感染者が増えた状態が続いても安心して営業できない。しっかり対策して感染者を減らすことが必要」と話した。
石川知事「まん延防止」適用を評価
石川県では、金沢市を対象にまん延防止措置が適用される。谷本正憲知事は「抜き差しならない状況に入っていることを理解いただけた」と評価した。県内では4月に入って感染拡大が加速し、4月の感染確認は計584人と前月の約10倍に。5月8日には新規感染者が過去最多の80人に達していた。県は金沢市内の飲食店に対し、酒類の提供を終日自粛するよう要請する方針だ。【戸田紗友莉、岩本一希、小山美砂、山本尚美、深尾昭寛】