市役所敷地は全面禁煙なのに、駐車場屋上にJT寄贈の喫煙所設置 滋賀・草津

滋賀県草津市が、市役所敷地内を全面禁煙にしながら、今春から本庁舎横の立体駐車場屋上の一角に喫煙所を設けていたことが分かった。設置場所が敷地外にあるため、市は「全面禁煙方針に変更はない」とする。駐車場と市役所は連絡通路で結ばれているため「実質的に敷地内で、全面禁煙からの後退だ」との指摘が識者から出ている。
健やかに幸せに暮らす街「健幸都市」づくりを掲げる市は、受動喫煙対策を強化した改正健康増進法の一部施行を受けて2019年7~9月に庁舎内2カ所の喫煙所を閉鎖・撤去。隣接する草津アミカホール、さわやか保健センターを含めた敷地内を全面禁煙とした。
一方で喫煙者の路上喫煙やポイ捨ても問題化。市は3月、日本たばこ産業(JT)から寄贈を受けた喫煙所設備一式(約200万円)を立体駐車場屋上に整備した。
同改正法では、学校や病院、行政機関といった「第一種施設」では敷地内を原則禁煙と規定するが、屋外に受動喫煙対策が施された喫煙所の設置を例外的に認めている。橋川渉市長は「受動喫煙防止を徹底できる場所として屋上とした。駐車場は市役所敷地内ではなく、全面禁煙方針は転換していない」と話す。
日本禁煙学会(東京)の宮崎恭一理事は「道路で隔てられているとはいえ、立体駐車場も市有地で庁舎と連絡通路でつながっているなら敷地外というのは無理がある。市民や職員の健康を守ることが行政の使命で、それを忘れてはいけない」と指摘する。