新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種で、公共施設などに特設会場を設ける政令市や県庁所在市など71自治体のうち、約3割にあたる19市で、「医師不足」または、医師確保のめどが立たないなどで「必要人数を検討中」という状況にあることが、読売新聞の調査で分かった。政府目標の7月末までの接種完了が危ぶまれる自治体もあり、医師の確保が喫緊の課題となっている。
国内の高齢者向けのワクチン接種は、大型連休明けに本格化した。接種するには医師の問診が必要で、看護師ら「打ち手」に注射をしてもらう際にも医師の指示が必要だ。読売新聞は今月20~21日、政令市と県庁所在市、東京23区の計74市区を対象に、学校や公民館などの特設会場(医療機関での接種を除く)での「医師の充足感」を尋ねた。
この結果、特設会場を設けない東京都北区、高松、徳島両市を除く71自治体のうち、「充足している」と答えたのは52市区。これに対し、札幌、横浜、大津、松山、那覇の5市が「不足している」と回答し、残る14市は「必要人数を検討中(調整中含む)」とした。
「不足」または「検討中」と答えた自治体の多くは、7月末までの接種完了目標に合わせて計画の前倒しが必要となり、医師確保に追われている。
医師不足の5市のうち、横浜市では当初8月まで接種する計画だったが、ペースアップのために接種会場の運営時間を延長する方針で、新たに約600人の医師が必要となった。松山市も計画を前倒しした影響で医師が延べ250人足りない状況だ。
「検討中」と答えた盛岡市も、これまではかかりつけ医による個別接種で対応する計画を進めてきたが、特設会場での集団接種も視野に入れて、医療従事者の確保方法を模索している。
一方、山口市では、当初、接種希望者は市内の高齢者人口の7割程度と見込んでいたが、実際には8割に上り、想定よりも接種人数が6000人近く増えた。同市の担当者は「現在、医師会を通じて、個別接種で対応できる枠を増やしてもらえるよう、お願いしている」と話した。
今回の調査では、札幌市が、「国に大規模接種会場の開設と医師らの補充を要望している。それがないと、7月末の完了は難しい」と回答するなど、複数の自治体で高齢者の接種完了が8月以降にずれ込む可能性があるとしている。