米国居住経験のある国内の高齢者らに、米政府から小切手が届き、困惑が広がっている。バイデン政権が新型コロナウイルス対策として打ち出した1人当たり最大1400ドル(約15万円)の現金給付策で発行したものだが、多くは受給資格がないとみられる。
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「よくわからずに困っている」。今月上旬、米財務省発行の小切手を受け取った横浜市の女性(66)は話す。
女性は1989年から約3年半、銀行員だった夫の米国赴任で東部コネティカット州に住んでいたことがあり、現在も夫婦で米国から年金を受給している。今回、届いた封書には小切手以外に何も入っておらず、半信半疑でいたところ、今度はバイデン大統領の署名の入った文書が送られてきた。同時期に米国に住んでいた友人らのもとにも、小切手と文書が届いていた。
国内の大手銀行などには大型連休明け以降、米政府発行の小切手についての問い合わせが増え始めたという。外国小切手全般を取り扱っていない所も多く、各行は受給資格を確認した上での来店などを求めている。
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米政府の現金給付は、米国で3月に成立した経済対策の柱だ。実務を担う内国歳入庁(IRS)によると、受給資格があるのは原則、米国市民か米国に居住する外国人で、支給額は納税データに基づいて決まる。
IRSは「米国に住んでいない外国人は受給資格がない」とする一方、日本の元米国駐在員らに小切手が届く理由は明らかにしていない。
米国の新型コロナ対策としての現金給付は今回で3回目だ。1回目の時には、すでに亡くなっている約110万人に支給されていたことが米議会の政府監査院の調べで明らかになった。給付のスピードを優先し、受給者を精査せずに発行を急いだ可能性がある。
IRSは、受給資格がない人が小切手を受け取った場合は「返却する必要がある」とする。小切手の裏面に「Void」(無効)と書き込み、IRSの拠点(3651 S Interregional Hwy 35 Austin, TX 78741 USA)に返送するよう求めている。(スタッブ・シンシア由美子、ワシントン 山内竜介)