企業健診に「歯周病」検診 生活習慣病の重症化予防で 10月から北九州で実証実験

企業の健康診断に歯周病検診を組み込む実証実験が、10月から北九州市で始まる。九州歯科大(小倉北区)が北九州商工会議所、健診機関を運営する一般財団法人・西日本産業衛生会(同)と連携。働く世代の口の健康もチェックすることで生活習慣病の重症化予防などにつなげる狙い。企業健診に歯周病検診を併せる先進的な試みで、来年度からの本格実施を目指す。
実証実験は、北九州商議所(会員事業所約7000)の健診対象約15万人のうち、2000人が対象。西日本産業衛生会が来年3月まで、各事業所の定期健診や生活習慣病の予防健診で実施する。九州歯科大が企業と共同開発した測定キットを使用。受診者の舌を拭った綿棒から歯周病菌の種類や量を測定し、炎症状態を判定する。
西日本産業衛生会によると、歯周病検診を希望する事業所は多いが、歯と歯肉の間の溝をチェックする従来のやり方は1人当たり約40分と時間がかかり、就業時間内の集団健診になじまなかった。測定キットを使えば時間を大幅に短縮でき、歯科医や歯科衛生士以外の医療職も対応できるという。10万人規模を想定する北九州市での本格実施に向け、実証実験でより効果的な検査・診断方法を探る。
九州歯科大の西原達次学長は「医科・歯科連携による健診事業を充実させ、地域住民の健康長寿を延ばしたい。そこで得られる実証データを分析することで、歯周病と生活習慣病との関連研究の進展も期待できる」と話している。【長谷川容子】
歯周病
歯垢(しこう、プラーク)の中の細菌によって歯肉が炎症を引き起こし、歯を支えている骨を溶かしていく病気で、歯を失う原因となる。口の中には300~500種類の細菌がいて、歯磨きが十分でなかったりするとネバネバした歯垢をつくり、歯の表面につく。日常の歯磨きや定期的な歯科検診などで予防することができるとされる。