東京五輪・パラリンピック開催の可否が世界的に注目を集める中、政府コロナ対策分科会の尾身茂会長の言動が菅義偉首相ら政権幹部を動揺させている。 尾身氏は国会答弁などで、コロナ禍での五輪開催を「普通でない」と指摘。「やるのなら、何のためにやるかを明確にするのが(主催国の)責務」などと述べ、菅首相が説明責任を果たすことが五輪開催の条件と主張しているからだ。 政府与党内では「余計なことを言い過ぎ」などの批判が相次ぐが、感染症専門家だけでなく国民の間でも「尾身氏の主張は筋が通っている。政府は真剣に対応すべきだ」との声が広がっている。 ■政権幹部は「五輪中止はない」 尾身氏は近く、コロナ対策と五輪開催について専門家の見解をまとめて提言する考えも示している。菅首相らの対応を含め、コロナ・五輪政局の大きな波乱要因となりそうだ。 菅政権の主要幹部はここにきて「五輪中止の選択肢はない」(官邸筋)と口をそろえ、五輪開催準備を着々と進めている。そうした流れに逆らうかのように、尾身氏が厳しい発言を連発するようになったのは、東京などへの緊急事態宣言が再延長された6月1日からだ。 尾身氏は同日の参院内閣委員会で、ステージ4(感染爆発)での五輪開催は「さらに医療に負担がかかる」と危機意識をあらわにした。2日の衆院厚生労働委員会では「今の状況で(五輪を)やるというのは、普通はない。やるのなら(主催者として)何のためにやるのかはっきり明言することが重要だ」と踏み込んだ。 五輪開催の意義や目的、開催時の感染防止策を政府や東京都などが「明確かつ具体的に説明しなければ国民の理解と協力が得られない」というのが尾身氏の主張だ。 一連の尾身氏の発言は「五輪開催の可否を判断する資格もないし、するつもりもない」との前提つきではある。しかし、同3日の参院厚労委では「なるべく早い時期に(専門家の)考えを正式に表明するのが我々の責任だ」と踏み込み、緊急事態宣言の期限となる6月20日の前に、感染症専門家らによる「見解」を政府などに提言する考えも示した。 これに対し政府側は、田村憲久厚労相が「自主的な研究の成果の発表と受け止めさせていただく」と述べ、あくまで「参考資料」として対応する考えを表明。丸川珠代五輪担当相も「別の地平から見てきた言葉をそのまま言っても、なかなか通じづらい」と冷笑するなど、政府の重要な判断材料と位置付けない立場を示唆した。 ■尾身氏の主張に理解を示す声も
東京五輪・パラリンピック開催の可否が世界的に注目を集める中、政府コロナ対策分科会の尾身茂会長の言動が菅義偉首相ら政権幹部を動揺させている。
尾身氏は国会答弁などで、コロナ禍での五輪開催を「普通でない」と指摘。「やるのなら、何のためにやるかを明確にするのが(主催国の)責務」などと述べ、菅首相が説明責任を果たすことが五輪開催の条件と主張しているからだ。
政府与党内では「余計なことを言い過ぎ」などの批判が相次ぐが、感染症専門家だけでなく国民の間でも「尾身氏の主張は筋が通っている。政府は真剣に対応すべきだ」との声が広がっている。
■政権幹部は「五輪中止はない」
尾身氏は近く、コロナ対策と五輪開催について専門家の見解をまとめて提言する考えも示している。菅首相らの対応を含め、コロナ・五輪政局の大きな波乱要因となりそうだ。
菅政権の主要幹部はここにきて「五輪中止の選択肢はない」(官邸筋)と口をそろえ、五輪開催準備を着々と進めている。そうした流れに逆らうかのように、尾身氏が厳しい発言を連発するようになったのは、東京などへの緊急事態宣言が再延長された6月1日からだ。
尾身氏は同日の参院内閣委員会で、ステージ4(感染爆発)での五輪開催は「さらに医療に負担がかかる」と危機意識をあらわにした。2日の衆院厚生労働委員会では「今の状況で(五輪を)やるというのは、普通はない。やるのなら(主催者として)何のためにやるのかはっきり明言することが重要だ」と踏み込んだ。
五輪開催の意義や目的、開催時の感染防止策を政府や東京都などが「明確かつ具体的に説明しなければ国民の理解と協力が得られない」というのが尾身氏の主張だ。
一連の尾身氏の発言は「五輪開催の可否を判断する資格もないし、するつもりもない」との前提つきではある。しかし、同3日の参院厚労委では「なるべく早い時期に(専門家の)考えを正式に表明するのが我々の責任だ」と踏み込み、緊急事態宣言の期限となる6月20日の前に、感染症専門家らによる「見解」を政府などに提言する考えも示した。
これに対し政府側は、田村憲久厚労相が「自主的な研究の成果の発表と受け止めさせていただく」と述べ、あくまで「参考資料」として対応する考えを表明。丸川珠代五輪担当相も「別の地平から見てきた言葉をそのまま言っても、なかなか通じづらい」と冷笑するなど、政府の重要な判断材料と位置付けない立場を示唆した。
■尾身氏の主張に理解を示す声も