子どもが教職員から体罰や暴言受けても…保護者の7割「届けない」

自分の子どもが教職員から体罰や暴言などの被害に遭っても、7割の保護者が学校に届け出ていない実態が、熊本市教育委員会の調査でわかった。他の家庭の子どもが被害に遭っても届け出ない保護者は9割に上った。
市教委の発表によると、4月28日~5月14日に、市立の小中高校と特別支援学校に通う児童・生徒の保護者を対象に、メールを通じて体罰・暴言等に関するアンケートを実施。2万631人から回答を得た。
このうち、382人が「自分の子どもが体罰・暴言等の被害に遭った」と回答。しかし、学校などに届け出たのは102人(27%)にとどまった。届け出なかった280人(73%)は「相談しても無駄だと思った」「訴えた後のことが心配だった」などの理由が多かった。
他の家庭の子どもが被害に遭うのを見たとの回答は343人で、届け出たのは32人だった。
有識者でつくる体罰等審議会の委員からは、「保護者の不信感があると解決の仕方が難しくなる可能性がある」などとし、被害を届け出ることができる仕組み整備の重要性を指摘する意見が出たという。
現状でも、市教委や学校に届け出ることができる「体罰・暴言等に関する相談票」を設けているが、今回のアンケートでは6割以上の保護者が知らないと回答した。
こうした結果を踏まえ、市教委は改めて体罰・暴言等の再発防止策を検討し、夏頃までに学校に通知する方針。
昨年度の体罰等審議会では、体罰10件、暴言等11件、不適切な行為27件が認定されている。