新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の期限が20日に迫る中、大阪府は16日、宣言が解除された場合の対応について国と調整を続けた。酒類提供自粛に協力してきた飲食店からは悲痛な声が上がるが、3月の宣言解除後に感染が急拡大した経緯を踏まえ、府は感染対策の徹底が必要との立場だ。自粛か、営業時間短縮か-。吉村洋文知事は難しい判断を迫られている。
方針一致せず
「感染者が減り、事業を認めるべきだとの意見も分かる。感染を再拡大させないことも重要だ。非常に悩んでいる」。吉村氏は16日の対策本部会議後、記者団に胸中を明かした。
府内で最大1260人に上った1日当たりの新規感染者数は今月14日に57人まで減少し、16日は108人だった。病床の逼迫(ひっぱく)度も改善傾向にある。
こうした状況を受け、松井一郎大阪市長は15日、記者団に「お酒が出ないと商売が成り立たない」として、酒類提供を認めた上で営業時間を午後8時までとする案を示した。吉村氏は16日に出演した民放番組で、松井氏との間で「なかなか一致しない」とこぼした。
府は緊急事態宣言下で、酒類を提供する飲食店に休業を要請。蔓延(まんえん)防止等重点措置で休業を求めることはできないが、酒類提供の自粛要請は可能だ。要請に応じない事業者に命令し、従わない場合は20万円以下の過料を科すことができる。
府幹部によると、21日以降も「酒類の提供は自粛してもらいたい」というのが吉村氏の本音だ。2度目の宣言が解除された3月1日以降、大阪市内の飲食店に時短を要請したが、変異株の急拡大を止められなかった苦い記憶がある。この日も「同じ道に戻らないことが重要だ」と強調した。
飲食店やきもき
「『酒を提供していいよ』となってほしいが、そうならなくても協力する。徹底的に対策をして、早く(コロナ禍が)終わってほしい」。堺市内で立ち飲み屋「庄八」など3店舗を経営する坂口庸一会長(75)はこう強調した。
3店舗は3度目の緊急事態宣言発令当初から休業。だが、周辺には府の要請に従わず酒類提供を続ける店もあるといい、「不公平という気持ちはある」。21日以降も酒類提供の自粛が要請されれば、3店舗とも休業を継続するつもりだ。
一方、「20日まで我慢すればお酒を提供できると思ってやってきた。いつまで続ければ気が済むのか」と憤るのは、大阪・北新地にあるバー「ムルソー・セカンドクラブ」のオーナー、東司丘(としおか)興一さん(70)。前回の重点措置では時間の制限はあったが、酒類の提供はできたため、少額でも利益が出ていた。「酒類の提供ができないとなると、宣言と重点措置の違いが分からない」と話した。