「表現の不自由展」大阪府が会場の使用許可取り消しを容認

大阪市で7月に開催される予定だった企画展「表現の不自由展かんさい」について、会場となる大阪府立施設の指定管理者が使用許可を25日付で取り消したことが判明した。開催が明らかになった6月中旬以降、施設への抗議活動が相次ぎ、利用者の安全が保証できないと判断したという。府は指定管理者から事前に相談を受け、許可取り消しを容認した。
「表現の不自由展かんさい」は7月16~18日、大阪市中央区の大阪府立労働センター(エル・おおさか)で開催される予定だった。愛知県で2019年にあった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で開かれた企画展「表現の不自由展・その後」の作品の一部を展示する予定で、有志による実行委員会が準備を進めていた。
施設は府の指定管理制度に基づき、一般財団法人大阪労働協会などでつくる共同事業体「エル・プロジェクト」が指定管理者として管理・運営している。指定管理者によると、実行委がSNSで展覧会の実施を明らかにした6月15日以降、エル・おおさかに電話やメールでの抗議が25日までに約70件寄せられた。また、施設周辺で大音量で中止を求める抗議活動も行われたという。
このため指定管理者は、施設の利用方法などを定めた府条例に基づき、施設の管理に支障がある場合は使用許可を取り消すことができるとするケースに該当すると判断。大阪府に相談した上で、使用許可の取り消しを決めた。府は、条例に基づき使用許可の可否の権限は指定管理者にあるとしている。
府も指定管理者から事前に相談を受け、許可の取り消しは妥当と判断したという。府労働環境課の担当者は「あくまで施設利用を安全にできるかという点で、条例に照らして回答した」と語った。
指定管理者の担当者は「抗議が殺到し、すでに利用者や職員の安全確保が極めて難しくなっている。企画展が実施されれば抗議活動などに一般の人が巻き込まれ、安全を保証できない可能性が高いと判断した。企画展の内容の是非は使用許可取り消しの判断材料にしていない」と話した。
愛知県で19年に開かれた「表現の不自由展・その後」を巡っては、従軍慰安婦を象徴する少女像や昭和天皇の肖像を燃やす動画作品などに対して「電凸(電話突撃)」と呼ばれるネットを介した抗議が殺到。一時中断に追い込まれ、その後、入場制限を設けて再開した。東京でも今月25日から同様の展示会が開かれる予定だったが、会場となる施設側から貸し出し辞退の申し出があり、延期を余儀なくされた。7月6~11日には名古屋市でも開催が予定されている。【石川将来、宮川佐知子、茶谷亮】