新型コロナウイルスの感染が深刻化する中、埼玉県内の自宅療養者が9日に1万人を突破した。県は無症状・軽症者については「原則宿泊療養」として、療養先となるホテル確保も進めている。だが、療養者を入れ替えるための部屋の消毒と清掃が追いつかず、確保した部屋の4割以下しか使用できていない。中等症・重症者用の病床も
逼迫
(ひっぱく)する中、ほぼ限界まで増加した自宅療養者の症状が悪化して今後、入院が必要になる可能性もあり、県担当者は苦悩している。
県内の自宅療養者は7月19日時点では1000人を切っていたが、2週間後の8月2日には5344人と5倍以上に。さらに1週間後の9日には、1万657人まで膨れ上がった。
政府が中等症以上の人を除いて「原則自宅療養」との方針を打ち出したのに対し、県は入院の必要がない無症状者・軽症者らを「原則宿泊療養」とする方針を崩していないが、大半の人が自宅療養となっているのが実態だ。
県によると、9日時点の宿泊療養者はわずか567人にとどまっている。県は同日時点で宿泊療養先として県内11のホテルで1535室を確保しているが、稼働率は4割を切っている。
ホテルを確保していながら活用できていない背景には、委託している民間業者による消毒と清掃などの作業が追いつかないことがある。県感染症対策課の担当者は「ホテル療養を終えて次の人が入るまでに消毒や清掃が必要だが、最短でも3日はかかる」と説明。感染者が増加すると療養者の入れ替え作業も増すため、待機のために空けておく部屋も増える。「現状で稼働率はほぼ限界に近づいているが、なんとか全体で5割は超えたい」としている。
確保室数は10日には1653室に増えた。県は2523室を目標に増やせるよう、現在もホテル側と交渉を続けているが、契約までには早くても1か月かかるという。
一方で、中等症・重症者が入院するために確保した1679床の病床も、9日時点で使用率が63%と、国の指標で最も深刻な「ステージ4」の目安(50%以上)を超えた。大野知事は「分母(感染者全体)が増えると重症者が増え、中等症から重症に転じるケースもある」との懸念を示している。
このため県は10日、県内の104医療機関に対し、19日までに重症者向けの病床を46床増やすよう要請した。10日時点の確保病床は、重症者向けが165床、中等症など向けが1520床の計1685床だが、19日までに、重症者向け211床、中等症など向け1505床の計1716床とする考えだ。
県幹部は「医療をこれ以上逼迫させないためにも、感染防止を徹底してもらいたい」と県民に呼びかけている。