新型コロナウイルスの軽症・中等症向けに「抗体カクテル療法」と呼ばれる新たな治療法が大阪府内で始まり、治療効果を上げている。重症化防止が期待されており、医療現場からは「早めの投与が効果的」との声が上がる。現状では対象が入院患者に限られており、自宅や宿泊施設にいる人に投与できる体制をどう整えるかが課題となっている。
抗体カクテル療法は、ウイルスが細胞に感染するのを防ぐ二つの中和抗体「カシリビマブ」と「イムデビマブ」を組み合わせ、1回点滴する。厚生労働省が7月に特例承認した。
海外での外来患者に対する臨床試験では、入院や死亡のリスクを7割減らす効果が示された。50歳以上や持病があるなど重症化リスクが高い人が対象で、発症から原則7日以内に投与する必要がある。
新型コロナ専門病院の大阪市立
十三
(じゅうそう)市民病院では、7月29日から抗体カクテル療法を始めた。3日までに治療した5人について分析したところ、発症から3、4日目に投与した3人は熱が下がり、
倦怠
(けんたい)感などの全身症状も改善して全員が退院した。一方、発症から6、7日目に投与した2人には十分な効果がみられず、現在も入院中という。
西口幸雄病院長は「早く投与した方がよく効く印象で、早期退院につながることが期待できる」と語る。
現在は入院患者にしか認められていないが、大阪府の吉村洋文知事は9日、記者団に「(抗体カクテル療法を)自宅療養者にも使えるよう、外来でもできるようにすべきではないか」と述べた。自宅療養者や宿泊療養者に点滴する場合、外来や医師らの往診による投与を認める必要がある。
10日時点の大阪府内の自宅療養者は6137人、宿泊療養者は2406人で、いずれも増加傾向にある。軽症・中等症病床(2534床)の使用率は70・4%で、今後さらに
逼迫
(ひっぱく)すれば、自宅療養者らが増えることが見込まれる。