就職を希望する学生が減り、若手職員の離職も相次いでいる。行政の質を高めるため、国家公務員の働き方を改めなければならない。
人事院が、公務員人事管理の現状と課題について、国会と内閣に報告した。国家公務員総合職試験の志願者減少などに懸念を示し、「人材の確保は喫緊の課題」だと指摘したのが特徴だ。
最優先に取り組むべきは、各省に広がっている長時間労働の是正だろう。報告では、「恒常的に長時間の超過勤務を命じざるを得ない部局等もある」と明記した。
人事院は、国会質問に対する答弁の準備が深夜に及び、職員にとって大きな負担となっていると強調し、国会に協力を要請した。国会を名指しして対応を求めたのは初めてである。
与野党は、国会質問について、原則として2日前までに内容を通告することで合意している。しかし、通告が質問前夜になるケースもしばしばある。各党は、ルールの順守に努めてほしい。
昨年12月から今年2月の3か月間について政府が行った調査で、「過労死ライン」とされる月100時間を超えて残業した職員は、延べ約3000人に上った。
予算編成に従事した財務省が最多で、新型コロナウイルスに対応した厚生労働省が続いた。
一部の省庁や部局に負担が集中しているのは問題だ。特に厚労省は福祉分野などの業務が大幅に増えたにもかかわらず、体制が追いついていない。省庁の縦割りを越えて、定員の見直しを検討することが必要だろう。
日本の公務員数は国、地方とも、人口比で欧米の主要国より少ないのが実情だ。行政改革を進めた結果、形の上ではスリムな組織になったが、危機に適切に対応できない弊害も目立っている。
都道府県や市区が設置する保健所は、統廃合が進んで常勤職員も減り、コロナに関する国や病院などとの調整の遅れを招いた。
2009年に新型インフルエンザが流行した際、有識者らは感染症に備えた人員や研修などの体制を増強することを提言した。しかし、予算面の制約から、十分な対策は取られなかった。
政府はその反省を踏まえ、危機を念頭に、必要な部署に必要な人材を配置することが重要だ。
公務員の信頼回復も急務である。公文書の不適切な取り扱いの背景には、政府首脳ら政治の側の粗雑な国会答弁がある。官の劣化と政の劣化は無縁ではない。