送水ルートはなぜ1つだった?水管橋の崩落…老朽化対策優先し「複線化」に注力されず

10月7日現在、和歌山市で水管橋が崩落して4日が経ちましたが、まだ断水は続いています。なぜ水を送る“命綱”は1本しかなかったのでしょうか。“複線化”に進めなかった事情を取材しました。 10月7日の朝、崩落した「六十谷水管橋」をドローンで撮影した映像には、橋のアーチ部分と送水管を繋ぐ“吊り材”の間に隙間があり、景色が透けて見える様子が撮影されていました。アーチの吊り材4本は映像でも腐食して破断していることがわかりました。 土木工学の専門家は破断について次のように話しています。 (和歌山大学・システム工学部 江種伸之教授) 「雨水とか塩分とか鳥の糞などがたまりやすい場所のところで、塗装がはげて徐々に腐食して破断に至ったのかなと。吊り材の劣化による破断がいくつも生じて、あのタイミングで耐えきれなくなって落ちた、という可能性は十分考えられるのかなと」 水は、紀の川の南側にある「加納浄水場」から「六十谷水管橋」を通って北側の地域に送られています。なぜ、命綱は、この1本だけだったのでしょうか。 市は12年前、送水ルートの“複線化”方針を提示。2本目の水道管を整備していく構えでしたが、その後、具体的な作業は進みません。 3年前の市議会でこのリスクを指摘した市議に話を聞くと。 (和歌山市 中谷謙二市議) 「他の浄水場の絡みもありまして、また予算の関係もあります。私たち北部に住んでいるものとしては、やはり1本では心もとないということで。もっと市に対して議会として言うべきことは言っとおけば良かったかなと思っています」 『複線化』が進まないのは『老朽化』対策に注力せざるを得なかったから。去年1月に地中の水道管が老朽化で漏水、市では既存の水道管の改修が優先されていました。 そのうえ、唯一の命綱「水管橋」の点検について、市長もその甘さを認めています。 (記者リポート) 「9月27日、和歌山市は月に1度の定例点検を行いましたが、隣の橋の歩道から目視で行うというもので、双眼鏡なども使われていませんでした」 9月の点検で、腐食の進行や破断は確認されなかったということですが、そもそも、この点検では水漏れのチェックが目的でした。今年5月には国交省の担当者が立ち会う検査もありましたが、「上部工の施設状況」といった項目があるものの、当時は「腐食あり」とひと言のみでした。命綱が1本というリスクを認識しながら、橋そのものが落ちるという危機意識はあったのでしょうか。 (和歌山市 尾花正啓市長 10月6日) 「今回、水管橋ということで(点検が)ちょっと甘くなっていたのではないかと思います。今後、人が通るような道路橋に準じたような形で点検していく必要があるのではないかと思います」